「生き辛さ」と「苦労」は異なる
私のクライアントの主な主訴である「生き辛さ」というのは、分かってもらいにくものだと思います。 クライアントの多くが「分かってもらえない」と言います。それは生き辛さのことかもしれません。 「生き辛さ」というのは「苦労がある」というのとは違います。 ですから、「生き辛い」と語っても、「誰だって大変なこと […]
私のクライアントの主な主訴である「生き辛さ」というのは、分かってもらいにくものだと思います。 クライアントの多くが「分かってもらえない」と言います。それは生き辛さのことかもしれません。 「生き辛さ」というのは「苦労がある」というのとは違います。 ですから、「生き辛い」と語っても、「誰だって大変なこと […]
社交不安について、一般的な専門的解説は次のようになっているそうです。 「不安は必要なものであり、なくすことは困難。よって、不安と適切に付き合ってゆくことが治療目標である」 深層心理のセラピーをしている私からは、なんだかニュアンスが違うように思います。 最近は「with 〇〇」が流行っていますので、「 […]
見捨てられ不安をもつ人は、見捨てられるのが恐いので、人と距離をおくかもしれません。 なにかしらの「見捨てられたかも」サインに過剰反応してしまうから。 ということは、「見捨てられたかも」サインに傷ついたとき、大事なことがあります。 「でも大丈夫」って感じが育っているかってこと。 「傷つかないこと」では […]
心の問題を克服して変化したことについても書いてゆこうと思います。 心の問題というのは、愛着不安定、広義トラウマなどの精神的な不自由のことです。私も主ないくつかを解消してきました。 特別な症状などがなくなるというのはさておき、書いてみたいのは日常生活や世界観の変化ですね。 掃除が気持ちいい 私は引っ越 […]
「身体障碍者の人は助けられてもお礼も言わない」というのを何度か聞いたことがあります。 まずは、すべての障碍者はこうだという一般化はナンセンスということは前提として確認しておきたいと思います。そのうえで、そういう人もいる、そういう傾向があるとしたら、というお話をしたいと思います。そして、それもすべての […]
ある臨床家の先生は「過保護だとストレスに弱い子が育つ」と言っていましたが、私はそれは偏見だと思います。 心理学を教える立場の先生たちから、そのような言葉を聞くたびに心が痛みます。 過保護というのは一種の虐待のようなもので、身体拘束に似ていると思います。子供は自律(自分で決めて行動する)をしようとする […]
差別との闘いについての議論で「戦わなければ負けだ」という言葉を聞いて、ふと思い出しました。それは違うと言っておきたいと思います。その議論を聞いていた人の中に、暴力被害者がいるかもしれないと思ったからです。 ※閲覧注意。暴力に関する記述あり。 虐めや性暴力の被害者で、腕力での抵抗(戦い)をあきらめた人 […]
当事者と心理支援者の両面から見ていた時代の目撃者として、日本での心理セラピー(心理療法)の歴史を書いておこうと思います。 たくさんの感動や悲観を経験してきたので、客観的な文章にするのが難しいのです。むしろ研究論文ではないので、ちょっと面白めに書きます。心理支援業界がユーモアを失ったらおわりと思います […]
条件つきではなくて、自分の存在そのものを肯定できるのが心理セラピーで目指す自己肯定感です。 それは自信をつけるアプローチとは真逆です。 赤ちゃんや幼児は自己肯定感がある。申し訳ないって感じで生まれてはこない。人より劣らないと自信があるから笑っているわけではないでしょう。 ※へんな投影がある人は赤ちゃ […]
人の悩みは人間関係、お金、健康(病気)がほとんどを占めると言われてきましたが、実はここ数年間は「自分がない」というテーマを聞くことが増えています。 もともと、生きる意味が欲しい病みたいなのとか、自分探しとか、やりたいことがわからないという悩みなんていうのはありました。なかったわけではないです。ただ、 […]
笑顔になる心のトラブルもあります。 心理用語では「ドライバー」と呼ばれるものの一種です。人を心配させないために、人の機嫌をとるために、人を喜ばせるために、人に好かれる(嫌われない)ために、笑顔をつくることが刷り込まれているケースです。 生き延びるために笑顔が必要だった人ですね。 カウンセリングルーム […]
高い目標を持って何も達成できなくなる人がいます。 楽器を習うときに、「あの名曲を弾きたいんです」と言います。ドレミファソラシドの練習はしたくない、最初から名曲を弾きたいと言います。で、いつまでたっても練習が始まりません。 名曲を演奏して「すげー」と言われたいそうです。ドレミファソラシドは弾いても意味 […]
数年前に、こんな言ったら世間から叩かれそうで言えなかったこと、今なら大丈夫かもしれないので書いてみます。 「新型ウツ」という言葉が流行ったことがあって、マスメディアにこんなような事例と記事が載せられていました。 A君は ウツ病 の診断をもらい会社を休職しました。それなのにお出掛けして、満面の笑顔の写 […]
「行動ができない」には様々な原因がありますが、その正体の一つにこんなのがあります。 行動すると成果を求められる。 ↓ 成果が出てないと批判される(叱られる、がっかりされる、もっと頑張れと言われるなどなど)。 ↓ めげる。 ↓ 罪悪感を感じる。 このパターンを繰り返してきた人は、「行動をしない」が最善 […]
ある種の心の問題(愛着不安定、愛着障害など)が解決してくると、映画のような綺麗事の愛のストーリーなんか求めなくてよくなるようです。 それよりも不完全な愛のストーリーをありがたく思えばよいと思います。 「愛なんか欲しくない」と言う人は、不完全な愛を拒絶して、綺麗事でも完全な愛を期待しています。 完全な […]
「寄り添う」という言葉がとらえどころない理由。それは、「なにかをすること」ではなくて、「なにかをしないこと」だから。 優しい言葉をかけるとか、相槌をうつとか、「なにかをすること」ではないからだと思います。 試しに私が疾患を持つとか被暴力経験を持つとか、開示したとします。瞬時に人は態度を変えます。それ […]
私はご本人からの依頼しか個人セッション(カウンセリング)を提供していませんが、「あの人を助けてください」と言われることはたまにあります。 「私の息子が死にたいと言っています。カウンセリングで止めてください」というご相談。 こういうのは引き受けません。息子さんにお金を渡して、息子さんが依頼してくるなら […]
笑顔をつくるように心掛けるのではなくて、 笑顔を抑えないように心掛けるのよ。 いつも誰にでも笑顔の人のお悩みが「人間関係が面倒」であることは、よくあります。 心理相談では、笑顔で涙を流し、笑顔のまま「わたし苦しい」と言う人もいます。 これは「常に笑顔でいなくてはいけない」という、広義のトラウマにより […]
「人からどう思われるかがこわい」 これは、多くの人を支配している。 動けない(制止)、やれない、迷う、などなどの正体がこれであることは多い。 そして、その正体のさらに正体というのがあって、そこは人それぞれ。 名前がついているものだけでも、愛着周辺(基本的安心感が育ってない)、自己肯定(見下されるとい […]
適切な人を見つけて信じると、無駄な憤怒(身を守るためではない、怒りのような反応。思い通りと違う感じ)が解消することがあります。 憤怒の対象が、ただのミス、ただの役に立たないコメント、ただの間違い、ただの誤解、ただの事故になってゆきます。 憤怒が解消してゆくと、なにかが残ります。怖さとか、悲しさとか、 […]
カウンセリングなどては、アドバイスしないことが基本とされてますね。 実は専門的なアドバイスをすることはあるのですが。 アドバイスが役に立たなくて害になるケースというのは、正しいことを言うやつね。 たとえば、失敗を恐れて行動できない人に対して「失敗を恐れるな」とアドバイスするとか。 多くの場合に、これ […]
クライアントの立場でいいますと、「頭で考えてはいけない」というセラピストやコーチの台詞が、私は苦手です。 セラピストとしての私は、クライアントに対して「頭で考えたことを、感じたことだと思い込まないように」とアドバイスすることはあります。 これらは、だいぶ違います。 多くのセラピストが、「頭で考えても […]
心の成長を伴う回復プロセスの中で起きるもうひとつのこと。赦しや安心のプロセスが進んだときに、瞬間的にぐったりすることがあるかもしれません。 たくさんの夢をいっきに見るような、覚醒とも爆睡ともつかない、感じだったりします。 それは大仕事の後の疲労感のようでもあり、肯定的な感じはすると思います。 急激な […]