生活ゲームの再構築という考え

私の心理職経験とゲーム会社勤務の経験から、生活ゲーム再構築セラピーというのを考えてみます。

方法というよりは、自分の幸せへの答えを探すための枠組みです。答えがすぐに見つからない場合も多いかと思います。

概要

生活の変化を目的とするセラピープロセス(現状から抜け出してゆく)の中に「楽しむ」を取りいれるために、ゲーム企画のアナロジーで考えるというものです。

Kojunの心理セラピーが1回ごとのセッションで成果を期待するのに対して、生活の中で幸せへの地味な積み重ねをどう実現するかというものです。

  • 「楽しむ」を取り入れる。「楽しいものを取り入れる」ではない。
  • 生活をゲームとして見直す。「生活にゲーム要素を取り入れる」のではない。

教育者や治療者がよくやる間違い

まず、ゲーム再構築セラピー、心理的な罰と報酬による安易な行動主義アプローチではなことを説明しておきます。

RPG、ソシャゲー、パズルゲームなど、人はやりますよね。中毒性があるくらいです。しかし、ゲーム形式の教育ソフトなどというものは、ことごとくやらないですよね。

なぜかというと、前者は「楽しみの提供」を目的につくられていて、後者は「勉強させる」ことを目的につくられているからです。

この違いは、治療者の都合で人を変えようとするセラピーがうまくいかないということと似ています。

たとえば、教育ソフトで知識を学習させる場合、クイズに正解すると「〇」表示されてアイテムを獲得、クイズに不正解だと「×」表示されてアイテムは与えらえない、というのがよくあります。これは、心理的に報酬と罰を与えているのです。

それに対して、ある人気スマホゲームの中に組み込まれているクイズでは、クイズに答えるとアイテム1つ獲得、正解ならさらに1つ獲得となっています。

ここにゲーム企画のプロとアマの違いがあります。

前者(教育ソフトの例)は心理的な報酬と罰によって、人の行動をコントロールしようとするもので、行動主義心理学のベースとなっているものです。子供の教育や療育などの分野で実際に基本メソッド(トークンエコノミー法[1]トークンエコノミー法:好ましい行動にポイント与えて、10ポイント溜まるとお菓子をあげるなど。、タイムアウト法[2]タイムアウト法:好ましくない行動をすると、廊下に立たせるとか、遊びを中止するなど。など)とされていますが、心のお悩みの解決にはあまり役に立ちません。

後者(人気スマホゲームの例)は心理的な罰を使わず、報酬のみによって設計されています。

前者では、罰の効果により、子供が知識を習得するだろうと期待しているわけですが、実際にはその教育ソフト(教育用ゲーム)を起動すること自体が嫌になってきます。その結果、なかなか続かないということになります。

あなたが新しい職場の事務室でハサミを探してるとします。いくつかの引き出しを開けて、ハサミを発見します。そうすると、次回から迷わずにその引き出しをあけるようになるでしょう。知識の習得が起きたわけです。この学習が起きるために、ハズレの引き出しを開けるたびに「×」表示のようなペナルティは必要ありません。

行動や知識の獲得のために必ずしも心理的な罰は必要ないのがお分かりいたでけるでしょう。

子供たちはポケモンのモンスターの名前をたくさん憶えています。しかし、ポケモンゲームは「このモンスターの名前は?」というクイズに〇×表示して覚えさせているわけではありませんよね。

後者では、罰を使わずに、クイズに正解しても不正解しても心理的な報酬が得られるようになっています。

「バトルに負ける」というのは心理的な罰のように思われるかもしれませんが、人気ゲームの設計ではバトルに負けても経験値や資材などは減らないようになっています。バトルに負けても報酬が得られるゲームもあります。「バトルに参加するために資材が減る」ことはありますが、「負けたから減る」わけではありません。バトルに負けたとき、「あ、こうしたら勝てるかも」とわかるというのも心理的な報酬です。

ポイント1:罰はあまり役に立たない

とくに繊細さんや父性剥奪[3]父性剥奪:失敗を許される体験が不足していることで愛着不安定に似た性質になっているケースのこと。(Kojun用語)の人のように、「負ける」(生活においては、失敗や間違いのこと)ことへの回避が強い場合は、「負ける」ことを楽しめるようになることは重要な心の成長でしょう。

詳しく理由は述べませんが、この参加賞とでもいう報酬は、参加したタイミングではなく、負けを体験するタイミングで報酬が得らえることが重要です。

ゲーム再構築セラピーでは、このようなゲームの企画ミスを修正してゆきます。

多くの場合、心の悩みの背景には、自分ではなく世間の価値観、親の価値観のようなものが「~すべき」として刷り込まれています。それは、教育者が学習者をコントロールするためのゲーム設計とよく似ています。

ゲーム再構築セラピーでは、他者のためのゲームから自分のためのゲームへとゲームを再構築するわけです。

ゲームに関する誤謬

「うちの子はゲームはするんだけど勉強はしない」「ひきこもりの人はゲームはするけど、社会に出て挑戦はしない」のはなぜか?

・ゲームは簡単だが、勉強は難しい
・ゲームの世界は甘いが、現実の世界は厳しい
・ゲームの世界はバーチャルだから簡単に勝たせてあげたり、報酬を奮発できる。
・面白いゲームを作るのは簡単だが、面白い教材や治療法をつくるのは難しい(なぜなら、ゲームは堕落で、学習や治療・克服は崇高だから)

多くの人はそう思っているでしょう。

でも、両方の業界を知っている私が思うに、真実はそうでもないと思います。

カジノは客が負けないと倒産します。

ヒットゲームの企画担当と、教育者や治療者とでは企画力のレベルが格段に違うからです。

※面白い授業をする教員はたまにいます。また、他社ゲームをパクっているだけのゲーム企画者もいます。

※Kojunがかつて開発した英語学習ソフトは、某中学校に導入され生徒が職員室に先生を呼びに来るくらい学習者を魅了しました。そしてTOEICが100~200点アップする効果がありました。教育ソフトが面白くないのはゲーム性企画力の問題です。

そしてその違いの源は、教育者や治療者が「他者を変える」ことに関心があるのに対して、ゲーム企画者は「自分が楽しめる」ことに関心があるように思います。

当事者視点があるってことです。ネイティブセラピスト[4]ネイティブセラピスト:当事者体験のある心理セラピスト、ウーンデッドヒーラーのこと。の話とも繋がってきます。

また、これは心理支援職には、他業種の知見が必要ということも示唆しています。ゲーム業界に限らず、他業種には各段に進んでいる面があります。

私がお世話になった先生方のなかにも、エンジニアリングや経営企画などの出身者がいます。

余談ですが、昨今では厚生労働省が(おそらく医師会のロビー活動の成果として)大学で心理学を専攻した人だけに心理職の国家資格を与える制度を設たため、今後は他業種経験のあるカウンセラーがほとんど育たなくなりそうです。これにより心理職の業界全体のレベルはかなり下がるだろうと私は予測しています。

権威者の立場でなく人を扱うサービス業、人の本性と対峙する水商売、ワケアリな人たちが働く風俗業界、天才肌(知識をつめこんだ高学歴ではない)の金融工学、心理戦で胃を失う人も多いファンドマネージャー、人身事故を防ぐ人心管理の工場管理者など。心理の実践者は心理学部の外にたくさんいます。それらを門前払いして、今後は大学教授の元で心理を学んだ、社会を知らない者だけで心理職業界を担おうというわけです。

罰と苦しみの違い

心の悩み解決プロセスにおける心理的な罰は、「治療者や自分や社会に責められる」が相当します。ここで扱うのは、説教があまり役に立たないケースということになります。

また、「悩みの苦しみそのもの」は罰とはちょっと違います。罰というのは人間が設計するものですが、苦しさそのものは天から授かるもの、自分の中からのメッセージですので、罰よりは役に立ちます。

心理セラピストがクライアントに厳しいことを言うような場面を「直面化」と言いますが、これは心理的な罰として叱っているのではなく、苦しみそのものを直視する応援をしているわけです。

「こうしないと、よくなりませんよ」というのは罰のシステムにしかなっていないので、「直面化」としては不十分なのです。

ですので、痛みを知っている心理セラピストしか「直面化」はできません。

もしあなたが、優しいだけではない心理セラピストを探しているけど、厳しければいいというものではない思っているとしたら、これはヒントになるかもしれません。

傘を忘れて雨に濡れる体験が傘を持ち歩くという習慣の獲得を助けることはありますが、傘を忘れた人に水をぶっかけるという罰は傘を持ち歩く習慣の獲得をあまり助けません。この違いは人為的かどうかにあるのですが、

また、深層心理セラピーでは苦しみを大切に味わいます。これはセラピーが苦しみを与えているのではなくて、もともとある苦しみを呼びだしているのです。当事者体験のない支援者がこの違いを理解することは困難です。クライアントは「苦しむ」必要はありますが、「苦しめられ」てはいけないのです。

もしあなたが心の悩みを解決するために「コンフォートゾーンから出ろ」と言われたときに、得も言われぬ違和感を感じるなら、これはヒントになるかもしれません。

 

次回は、ゲーム企画するような視点で、セラピープロセス(現状から抜け出してゆく)の中に「楽しむ」を取りいれる枠組みの例を書いてみたいと思います。

脚注[+]

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