心理学と統計

雑談

自分の心の悩みついて、心理学が助けになるのではないかと思っている方々もいらっしゃるかと思います。とくに科学的なものを信じようと思われる方には、参考になるかと思う話を書きます。

統計を使うとそれっぽい

「研究によると・・・」と書かれていると、科学的な印象を受けます。が、けっこう変な話も流布しています。参考にしていただきたい観点は・・・

統計を使って因果関係を証明しているものは、あやしい。

わかりやすく有名な例を挙げます。ワイン業界が広告に使った研究結果として、こんなものがあります。

「毎晩ワインを飲む人は、そうでない人に比べて平均寿命が長い」

で、ワインを飲むことは健康に良いと主張しているわけですが・・・。

ワインを毎晩飲むというのは、裕福であることの結果でもあります。一方で、裕福であれば、良い情報、良い食べ物、良い医療、良い生活を手に入れる場合が多くなります。お金持ちが最も欲しがるものは健康や寿命だそうです。ですので、「裕福であること」が原因であり、「毎晩ワインを飲むこと」と「寿命が長いこと」はどちらもその結果なのかもしれません。「ワインを飲めば寿命が延びる」という結論は科学的ではないわけです。

「ワインを飲むこと」と「寿命が長いこと」の間には相関関係があるというのが正確なところです。統計によって判ることは、相関関係であって、因果関係ではないのです。(実は、統計だけでなく実験も厳密にはそうです)

心理分野の例

たとえば、マシュマロテストとうのがあります。幼児にこんなことを言います。「大人が留守の間にマシュマロを食べることを我慢できたら、あとで一緒にもっとたくさんのマシュマロを食べようね」と。そして、留守の間に幼児がマシュマロを食べることを我慢できるかを判定します。追跡調査によると、我慢できた幼児の方が大人になってから社会的ステータスや収入が高いという結果でしたというものです。

さて、この研究結果によって、「自制心があることは、幸福になるための要因として大切である」というような主張があるわけです。

相関関係は因果関係とは限らないという観点からは、どうでしょうか?

そもそもなぜ我慢できない幼児と我慢できる幼児がいるのでしょうか? 我慢できなかった原因として、貧しい環境にいたり、人を信用しにくいこと、「後で一緒に食べる」を楽しく思えるか、知能的な発達段階(状況の理解度、想像力)、おやつ以外に興味を持てることがあるか、など様々なこととが考えられます。

別の例を挙げます。「同性カップルに育てられた子供は、一般的な家庭で育った子供よりも、将来、精神的な問題をかかえやすい」という追跡調査です。「同性カップルに育てられた子供」というのは養子だったり、再婚家庭だったりするわけですから、比較対象の「一般的な家庭で・・・」も同様に養子や再婚家庭なのかが気になります。

研究の意図が大事

相関関係だけでは因果関係は主張できないので、真実を見極めようというニュートラルな意図が必要です。科学者というのは、主張を証明したい人ではなく、真実を明らかにしたい人です。

ポイントは、その研究が、結論ありきで設計されていないかということです。

マシュマロテストは、実験結果を観るまえから「我慢ができない人はダメだ」という主張をするために設計された調査という感じがしませんか? 相関関係はなかったという結果だったら、研究成果はないですからね。予め用意された意見を主張することが研究の動機だとしたら、マシュマロテストもちょっと怪しいかと思います。人の幸せを社会的ステータスや収入で定義していることや、個別の人の声を取り上げる研究はしていないあたり、真実を知りたいのか(すなわち、この人は科学者なのか)が気になります。

その研究者は他にどんな研究をしているかを見てみるのもよさそうです。予め主張したくなっている結論を出すために研究しているのか、人が幸せになる方法を探して研究しているのかが見えてきます。

そして、相関関係を即座に因果関係として主張している研究は、研究の動機に注意したいです。

心理学や研究成果に助けを求めるのであれば、1つ実験や研究の結果を見るのではなく、研究会やシンポジウムなどで研究者の討論を聴くのがよろしいかと思います。人を裁くためではなく、人が幸せになるために研究している研究者たちはいます。その方々と直接会う(討論を見る)ことで、感覚が養われます。

学問や研究だけでなく、それを作っている人の想いにも触れてください。

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心理セラピスト 広義トラウマの解除/生きづらさ改善(人生を支配するパターン、自己肯定、アダルトチルドレン、性暴力被害の過去、いじめトラウマ、PTSD、喪失、対人不安、愛着不安定、恐怖症など)を扱います。
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