本当の解決をしたいなら、ネガティブ感情を怖れないセラピストがよい

ネガティブな感情をなくすのが仕事だと思っているセラピストがいます。

「悲しい」を「悲しくない」に変える。泣いている人を、笑っている人に変える。

これは、セラピストがクライアントに好かれたり感謝されるためのセッションです。クライアントのためのセッションではありません。

セラピスト訓練のデモを見ていて多いのは、人に話(つらいこと)を話させて、ポジティブに解釈するように仕向けたりするスタイル。

和やかな雰囲気の中でやりますので、説教くさくはありませんが、心の問題は解決しません。

詳しくは書けませんが、簡単な例でいうと、本当の解決に向けては「ちゃんと泣くことや、恐さを認めることが必要なとき」があるということです。そこで、セラピストがネガティブ感情を怖れている(立ち会う力がない)と、その感情を止めさせたくなるのです。ポジティブ解釈を早まることで、未完了の感情が抑圧されて、問題の根が残ります。表面的に解決したようでいて、人生や生活は変わらないということが起こります。それでもセッションの終わりにクライアントが笑顔になれば、その場はいい感じになります。多くのセラピストがこれをやりたがります。

ポジティブ解釈させるタイプのセラピストは、こんなことを言います。「実際に俺はポジティブに生きてて幸せだ。それがこの方法が根本解決になっていることの証拠だ」と。根本解決ではない証拠に、人の心をいじりまわして感謝されないと自尊心を保てないという問題が起きています。そういう人は、頼まれもしないのに人の心の問題をほじくったりします。それを問題視するかどうかは本人の自由なのですが、クライアントがセラピストを選ぶときには考慮してよいかと思います。

逆に言うと、自分(クライアント)が泣いたり、恐さを認めたりしているときに、話しきるのを待ってくれるセラピストは、根本解決型である可能性が高いと思います。それは、一見すると、ちょっと冷たい感じにみえるかもしれません。

こういったことは、セラピー業界ではよく知られていることなのですが、知られていることと、実践されていることは、大きく違うわけです。人に感謝されるのが好きでセラピストになる人が多いからかもしれません。目的や動機に合わないものは、実践に反映されないということだと思います。

励まして感謝される仕事と、根本解決につきあう仕事は、適性が違うようです。

※当サイトの記事には実践経験に基づく意見や独自の経験的枠組みが含まれます。また、全てのケースに当てはまるものではありません。ご自身の判断と責任においてご活用ください。

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