サイコロジストの最終段階はネイティブセラピストのスタート段階に似ている
サイコロジスト(心理士)[1]学術知識をもとに心理支援をする心理専門職の成長モデル(六期モデル)というのがあるそうで、大学で心理学を学んだ人たちを対象に調査して作られたので、当然ながら大学で心理学を学んだようなサイコロジストに当てはまるモデルです。
その最後の段階の説明として、「クライアントは自分の力で解決してゆくのだと悟り」というのを聞いたことがあります。
サイコロジストではない、私たちネイティブセラピスト[2]学業ではなく、当事者体験をもとに心理支援をするセラピストでは、この悟りは最終段階ではなくて、初期に起こります。
なぜかというと、自分自身が解決した経験をもとにしているからです。そのことを知っているからセラピストになったのです。晩年に悟るのではなくて、それがスタートなのです。
なのでといいますか、引退間近のベテランのサイコロジストの中には、私たちネイティブ・セラピストを意外とかわいがる人もいます。
実際のところは支援職の個人差が大きいのですが、六期モデルというのは大学ルートがちがちの平均像にすぎないと思います。
避けられないクライアントへの見下し
他にも、「サイコロジストはクライアントを見下してしまう。できるのはそのことを自覚することだ」というお話があります。ほとんどの支援職は支援対象者を見下していますので、これはとても謙虚な姿勢だと思います。
しかし、ネイティブセラピストはクライアントを見下さない感覚があったりします。自分もクライアントなのですから。扱う分野にもよりますが、自分よりもクライアントのほうがよく頑張っていることは多いです。
これは「ちょっぴりネイティブなサイコロジスト」にもいえることかもしれません。
人間はじつに多様なのだということを受容れていれてこその心理支援だと思います。
心理支援者を探すには、その人がどのようにして学んできたのかを見てみるのもよいかもしれません。
それぞれの学習過程
偏った意見ですが、それぞれの学習過程を、私の印象で比較してみると、こんな感じです。
サイコロジスト(六期モデル)の学習過程
機械的 受容 学習 (知識を覚える/試験勉強)
※スピーディ、浅い
↓
デビュー
↓
機械的 発見 学習 (実務の数をこなす)
※長期がかかる
↓
続く
ネイティブ・セラピストとクライアントの学習過程
有意味 発見 学習 (当事者として体験する/様々な実践を試行錯誤する)
※長期がかかる、深い
↓
有意味 受容 学習(既にもっている体験と照らしながら、知識を学ぶ)
※スピーディ
↓
デビュー
↓
続く
「受容学習」というのは教科書などから正解が与えられるタイプの学習で、「発見学習」というのは自分で正解や理論をつくっていくようなタイプの学習です。「有意味」というのは、ここでは実体験と結びつくことと解釈しています。
なお、私のクライアントは長期間にいろんな実践や自己分析などしてこられた方が多く、「有意味 発見 学習」に相当します。私はクライアントの実体験と結びつけて必要な観点や事例情報を提供することで、クライアントに「有意味 受容 学習」を実現し、そのテーマに特化したセルフセラピストとして育てます。