心理セラピストの探す視点 〜 ネイティブな経験値

心理支援職(心理カウンセラーや心理セラピストなど)の選びかたの視点をもう1つ。どんな探し方、選び方があるかを知っておくとヒントになるかと思います。

知識と経験値

支援者は次の3つをもっています。「ネイティブな経験値」はもっている人と、もっていない人がいます。

心理支援者によってどこに比重があるかが異なります。これに関しては、複数のタイプの心理支援者とつながるのもオススメです。

知識大学の授業などで学んだ心理学の知識や成功事例や手法・ノウハウの情報。
支援者側としての経験値支援業務や手法に慣れているということ。
ネイティブな経験値実体験として知っていること。

正解や答えがあるお悩みについては、「知識」をもった支援者に出会うことで効率よく解決できるでしょう。ちなみに、多くの「資格」は「知識」に対して発行されます。1回もカウンセリングした経験がなくても国家資格をもっている人はいます。

スペシャリストとエキスパート(プラクティショナー)の違いかもしれません。知識をもつ人がスペシャリスト(専門家)で、ネイティブな経験をもつ人がエキスパート。これらは、すごく違います。

スペシャリストは研究論文などにアクセスして、「〇〇には〇〇が有効であることの研究結果がある」などの情報を得ます。エキスパートはクライアントの表情や会話の微妙な変化から隠れたサインを読み取ります。

ついでに、表の中段の「支援者側の業務経験」をもつ人はプロフェッショナルとでも呼びましょうか。

「知識」にも、心理支援者に共通のものと、ニッチなものがあります。なので、自分が求める分野についての知識がある人がよいでしょう。

エキスパートのもつ「ネイティブな経験値」は、お勉強によって得られない体験をもとにした暗黙知をもっといる人です。これは制度によって育成することができません。克服体験などは大学などの公的なカリキュラムにできないからです。「ネイティブな経験値」をもつ心理支援者は民間のトレーニング期間で養成されることが多いように思います。つまり、「カウンセラーになるために」勉強した人ではなくて、経験値をつんだら人の役に立ってしまた人たちという傾向があります。

専門家(知識や支援側と経験値のある人)なんてあんまり役に立たない、あんまり信頼できないと感じるなら、「ネイティブな経験値」をもつ心理支援者と話してみるとよいかと思います。

かつて30年くらい前、専門家(当時私が学生のとき授業を受けた不登校支援をしていた心理学教授)は不登校は強制的に学校に行かせるのがよいと言っていました。後に、そっとしておけと言うようになりました。しかし、30年前の当時、ネイティブな経験値をもつエキスパート(当時私が学生のとき訪問した支援者、なんの制度もない時代に今日でいうフリースクールを始めていた在野の人)は、強制的もそっとそとくだけも上手くいかないことを知っていいました。スペシャリスト(大学教授や行政)がエキスパート(在野のフリースクール代表)に追いつくのに20年以上かかっているわけです。

今日でも心理専門家が不登校にアウトリーチするのはきわめて高度が技術を要して困難、むしろ悪化したとの当事者会関係者の声もあるなかで、元不登校の支援スタッフがアウトリーチで活躍しています。

また、かつて心理専門家はセクシャルマイノリティは治すべき病だと思っていました。後に、セクシャルマイノリティの支援に興味をもちました。当事者やその身近な仲間は、ずっと前から、病として扱っても人が幸せにならないし、支援よりも世の問題であることを当時から知っていました。これも心理専門家が数十年の遅れをとっています。その間にたくさんの人々が命を落としました。

また、かつては全ての心の病は全て薬で治すと言う専門家がいました。これも、当事者の間では間違いだと知られていました。

心理学の知識というのは、主に偉人史と統計研究です。なので、病気としての治療や壊れた機械としての修理はできても、人の痛みや生き方は扱えない傾向があるようです。

※偉人史:お悩みの当事者ではなく、名もない多くの実践者でもなく、心理学者や精神科医が臨床をつくってきたかのような世界観。トラウマうを克服したA氏や元ヒッキーのB氏は功労者であっても歴史に残りません。

心理セラピストのトレーニングで相互セッションやライブスーパービジョンをしていたとき、心理学の知識を思い出そうとしていると先輩セラピストから「知識を見るな。クライアントを観ろ」と注意されたものです。

いまでは、逆に「知識こそが人を救う」といわんばかりに、国を挙げて専門家を養成しています。

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