心理療法が成果を出さない理由

私は両方の業界を経験したことがあるのですが、カウンセリングや心理療法が成果を出さない理由と、教育用ゲームソフトが面白くない理由はよく似ています。

簡単にいうと、多くの心理療法が成果を出さない理由は、治療者都合で行われるからですね。人のために理論があるのではなくて、理論研究のために人がいるんです。

教育用ゲームソフトは30年くらい前から模索されていて、いまだに面白くないものしかありません。そのからくりを見てみましょう。

たとえば、楽しみながら英単語を覚えるゲームというのを考えてみます。たいていの設計者は、「英単語を知っている子が勝てるゲーム」を作ってしまいます。

あなたが英語が苦手なら、この間違い解りますよね。

英単語を知っている子は楽しいかもしれませんが、出来る子はそんなゲームで学習する必要はないんです。もともと出来るんですから。英単語を知らない子は、このゲームをしたら負けるばかりで楽しくないでしょう。

つまり、これは英単語を知らない子に罰を与えるゲームなのです。

そのようなゲームの開発者に「このゲームのイタリア語版があったら、あなたはやりたいですか?」と尋ねたら、「やりたくありません」と答えます。

そんなゲームを作っても「ゲームを楽しみながら学習できる」とはならないんです。しかし、教育関係者が教育用ゲームを設計すると、必ずこの形式のゲームを作ります。

さて、ポケモンで遊んでいる子供たちは、モンスターの名前をあっという間に数百も覚えてしまいます。楽しみながら、自らすすんで。

ですので、ゲームを楽しみながら単語を覚えてしまうということは可能なはずです。

さて、ポケモンのゲームは、モンスターの名前を知っていると勝てるようなゲーム内容でしょうか? 「次のモンスターの名前を答えよ」という設問を出して、正しく答えたらモンスターがゲットできるのでしょうか? 全く違うということに気づいてください。

教育研究者たちは20年前から未だに気づいていません。

ゲームの内容は、英単語を知っているかどうかによってではなく勝ち負けが決まる必要があります。集中力とか運とかで勝ち負けが決まる、すなわちここは普通のゲームと同じでなければいけません。そして、そのゲームで夢中になって行う作業のなかに、英単語をインプットしたりアウトプットしたりする作業が含まれていればよいのです。それも、英単語を予め知っていなくてもできるような作業です。

つまり、含まれていなければいけないのは、「単語を覚えているかを試される」ではなく、「単語を覚えてしまう作業」なのです。

しかし、教師たちは、必ず「英単語を知っている子が楽しめて、英単語を知らない子が嫌な思いをするゲーム」を作ります。

教育ゲーム関係者たちは、このことに20年間も気づかないのです。

心理療法もよく似ています。教育者が学習者の視点を持たずに、教育者都合のゲームを作るように、治療者は当事者の視点を持たずに、治療者都合のセラピーをします。

そして、そのことにずっと気づかないのです。

なぜ、気づかないのか。目的が、英単語を覚えることではんくて、英単語を覚えさせることだからです。目的が、悩みを解決すること/幸せになることではなくて、治療することだからです。

ここらか、心理支援者を探すためのヒントとしては、なにが言えるでしょうか?

支援者の目的は、当事者の目的とは異なるということです。目的が異なるので、治療同盟、共同作業が成り立っていないことが多いのです。

もしくは、あなたのお悩みの種類によっては、治療者ではない人(治療者っぽくない人)を探さないといけないということかもしれません。つまり、専門家ではダメなのです。

教師たちがこの謎に20年間も気づかないのと同様に、心理支援者たちも(偉い人ほど)気づかないです。なぜなら、専門家ではダメなのだということを専門家が認めるのはとても難しいことだからです。

昔の話ですが、ある臨床心理学者が実験をしたそうです。ある簡単な手順を秘書たち(心理の専門家ではない)に教えて、患者の相手をさせたと。そうすると、専門家たちよりもよい結果が出たそうです。

似たような話はたくさんあります。心理カウンセラーが認知行動療法をするよりも、コンピュータシステム(アプリ)で認知行動療法をしたほうが成果がよかったとか。愛着安定化のセッションを温厚な性格の素人にやらせたら、有資格のサイコロジストよりも成果がよかったとか。

ただ、素人がやりがちな間違いというのもあって、プロのいいところは基本的なミスをしないってことなんですよね。そこは素人よりも安心。でも、ある種の悩みは解決しないんですよね。専門家の立ち位置にいるがゆえに。

なので、素人でもなく、治療者でもない人。と出会う必要がありそうです。

実践者ですかね? だいぶいなくなったかもしれませんね。

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