U理論とPoints of You
U理論は優れた発想の持ち主の発想のプロセスを調査してモデル化したものです。では、どのようにすれば私たちは彼らのようにできるのでしょうか? ここではPoints of Youメソッドをその方法として捉えてみます。
U理論とPoints of You を、理論と実践の組み合わせとして捉えてみます。
※そのために、多少オリジナルの理論とずれがあるかもしれませんがご了承ください。
これにより、Points of Youで何が起こっているか、その仕組みが理解でき、セッションやワークショップを臨機応変に運営することができます。これが唯一の理論ではありませんが、なにかしら理論を持っていた方が、ワークショップやセッションを振り返ったり、改善したりしやすくなります。
U理論の概要
U理論のプロセスの前半は次のようなものです。(本稿に必要な側面を強調して単純化しています)
- Download(固定観念の中にいる状態)
↓
- Seeing(観察している状態)
↓
- Sensing(感じとっている状態)
↓
- Presensing(創造的な瞬間)
以下、これらの用語を使って、Points of Youメソッドをみてみましょう。
観察すると固定観念から逃れられる
Points of Youでは、「拡散」フェーズにて、写真をよく観察します。
コーチングゲームの標準手順では、セッショニストが写真についての様々な質問を投げかけます。これは、U理論のDownload→Seeingを促いしていると捉えることができます。
日頃、私たちは頭の中の引き出しを参照しています(Download)。そこには、「いつもの考え方のパターン」があります。Downloadを止めるためには、頭の外の意識を向けます。すなわち、観察です。
観察対象として、Points of Youでは写真を使います。写真の観察を促す様々な質問をします。
※その様子を確認したい方は、体験会や講座にてどうぞ。
写真(頭の外にある偶然)に意識が向くことで、頭の中の引き出しから意識が引きはがされます。U理論ではSeeingに相当します。
SeeingはU理論の書籍では「現状を客観的に観察する」というような説明になっていますが、ここでは意識を外に向けることでDownload状態から抜け出すことと理解します。(それが起きることは、講座の中で体験できます)
その状態で、自分はどんな気持ちなんだろう、本当はどうしたいんだろう、本当は何に困っているんだろう、という問いと向き合います。これはU理論のSensingに相当します。自分の想いも観察対象です。「固定観念」も「想い」も内なるものですが、違うものということです。
拡散のための質問の順番
したがいまして、Points of Youメソッド(とくにコーチングゲーム)で行う写真につての質問というのは、観察というモードを促すためのものです。
「観察というモードを促す」という目的であれば、本題(そのセッションで扱うテーマ)とは関係なく、次の順番をお勧めしています。これは、答えやすい順番です。
- 写っている事実(ex.端には何が写っていますか? 何色がみえますか?)
- 想像されること(ex.この後どうなると思いますか?)
- 自分の感情(ex.これを見てあなたはどう感じますか? これは好きですか?)
観察というモードを促すという目的であれば、無理に「感情」に関する質問はしなくてもよいかと思います。本題からずれた情動が発動しても、セッションの助けになるとは限りません。セッショニストに人の心をいじりまわそうという気持ちがあると、ここでいろいろ感情に関する質問をしたくなりますが、それはこのフェーズでは不要なことと思います。
コーチングゲームであれば、チャートに書かれている「重要な問い」に移ってから、自分の感情に向き合っていただきます。
ですので、写真についての質問をする拡散フェーズでは、事実と想像の質問を使って、Downloadを脱した状態を促すナビゲートがよろしいかと思います。
上級者になれば、上述の発想のプロセスを意識して、クライアントが苦手とするところを一緒に練習するナビゲートなどもあり得るかと思いますが、過剰介入になるリスクを考えるとあまりお勧めしません。
(「この人は感情に触れるのが苦手だから、感情の質問をたくさんしてあげよう」程度の浅はかな上から目線は失敗します)
参考: