ACの回復期にお勧めのこと

アダルトチルドレンなどの心が回復してきたとき、でもなんだか世界が虚しく感じることがあります。

人を拒絶する感じではなくなったけど、でも独りだなあとか。

以前よりはラクになってきたけど、でもこの世自体が幸せに満ちているわけでもないことが悲しいとか。

得も言われぬ生きる恐さはなくなったけど、でも理不尽なこの世界をどう愛していいかわからないとか。

回復には虚しさが伴うことがある

自由という空洞

まあ、すっかり元気になっちゃう人もいます。やることが見つかって、新たな旅に出発!

でも、虚しさを感じることもあるように思います。

ひとつには、深層心理の問題が解決するとうことは、大事に守ってきたものが巣立ってしまうことでもあるので、長年一緒にあったものが無くなるような感じがしたりします。

あるいは、拘っていたものや、背負わされていたものを手放す。捨ててしまうことでもあるかもしれません。

トラウマとお別れするにも、ちょっと切なさがあるのです。

空っぽの空洞のようなものができます。

それはまた、自分のために時間を使ったことがない人が、急に自由になったときに自由な時間に圧倒されてしまうようなものかもしれません。

解放ショックとでもいいましょうか。

よく見える現実

また、回復すると、怖れが激減するので、現実がよく見えます。

自分の悲しい過去や境遇に対して、目を背けない力が備わります。それまでも不幸のようなものは感じていたのですが、それは現実を否定したいという気持ちのようなものでした。

回復すると、現実を否定しなくてもよくなります。過去を変えなくて済むようになります。

なので、よく見えちゃうのでしょう。

「あー、痛てぇなあ」って言えるようになってくるわけです。

回復前は「私は不幸だあ」だったのが、回復すると「この世には理不尽ってもんがあるんだな」になってくるわけです。

アダルトチルドレンやトラウマを回復したからといって、戦争や貧困がなくなるわけでもありません。

限りある命と、たった一人の自分が実感されてきます。

回復前はそれは恐ろしいことですが、もはや恐ろしくはありません。でも、どうしていいかもわかりません。

現実との付き合い方を、赤ん坊のように学んでいくことになります。

失われたものを取り戻すヒント

機能完全家族と出会う

さて、お勧めの一つが、友人のとびきり健全な家庭、すなわち機能完全家族(ここだけの造語)に遊びに行くというものです。

思春期頃のお子さんのいる友人の家に遊びに行ったり、家族団らんに混ぜてもらうのです。

回復前には苦手なことだったかもしれません。あるいは、そんな友達おらーんだったかも。

もしそうなら、機会が訪れたときには、やってみる価値はあるでしょう。

親子で漫才のように言葉をぶつけあいながら、ぜんぜん傷つかない様子。子どもが取り乱しても、親が呆れ余裕で対応している様子。そして、そんな場に一緒に居ることができる自分。

機能完全家族と一緒に居ることが、苦痛ではなく、癒やしになるってことは、回復段階のバロメーターになります。赤字からスタートした新規事業が黒字に転じたことに似ています。

空洞を埋めるヒントが得られるかもしれませんよ。

「わたしカウンセラーになって世界中の人を助けるー」なんていうような病んだ感じではなく、ちゃんと目の前の人を守る普通の人であれるというか。

シャドウの統合

また、ユング心理学風に言えば、機能完全家族と一緒に過ごすことや、他者の幸せを感じる体験は、「生きられなかった自分」であるシャドウを統合してゆくことにもなるでしょう。

「幸せそうな家族を見るのは苦手だ」という感覚も、「そんなものに興味がない」と声を荒げることも、シャドウとの対面を表しているかもしれません。

シャドウというと暗いイメージがあるかもしれませんが、ACにおいては、明るいものやポジティブな風景の一部がシャドウになっていることがあるようです。

出会ってみれば、なんでもないことかもしれません。

インナー・アダルトを育てる

これは分別のある大人になれとか、社会人として責任を果たせということではありません。

この世界が安心・安全にならなくても、子どもに安心・安全を与えることは少しできます。

少しね。

必ずしもこの世の狼を撲滅すること自分の役割としなくても、柵を作ったり、知恵を使ったりして、ちょっとでも安心・安全を高めることができる。

インナーチャイルドが「ちゃんと出来ないと危険だ」という恐怖から救済されると、インナーアダルトが「できることをやれる」ようになります。

ここは天国じゃないんだ。かといって地獄でもない。

いいやつばかりじゃないけど、わるいやつばかりでもない。

ブルーハーツ「トレイントレイン」

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