熱心に売込むと客が離れる、熱心に助言すると友が離れる

「熱心に売込むと、客が嫌がる」という現象ありますね。「押し売りのつもりはなくて、本当によい商品を紹介しているだけなのに」というケースについての相談もあります。

「人に大事なことを教えようとしたら、拒絶された」という場合も似ています。

せつないですね。このパターンに入ってしまったら、早く乗り越えてしまいたいです。

善意のコントロール

押し売りや、押し付けが嫌がられるのは、人間が支配されることを嫌うからですね。内容が正しいかどうかに関わらず。

「でもね、ときには素直に受け入れることも必要。素直にならなきゃ」と思うことがあるかもしれません。「これ、本当に大事なことだから、あなたのために言っているのよ」と。

あなたが権力をもっているのなら、それをやってみるのも選択肢の1つです。自分が上司である場合とかですね。

しかし、終身雇用で人を従わせたり、相手を情報孤立させたりできない場合。相手が対等な友達の場合。相手が自分より権力をもっている場合。相手が顧客の場合。それは通用しないかもしれません。彼らは笑顔を残して去ってゆくかもしれません。さて、どうしたものか。

良かれと思って相手を変えようとすることを、私は「善意のコントロール」と呼びます。

そのような悩みをもつセールスグループ、啓蒙家には、「善意のコントロール」を「愛」だとしているトラップがみつかります。

そして、「善意のコントロール」は「愛」ではないというのが重要ポイントです。善意ではあるけど、愛ではない。愛ではなくてコントロール(支配)なんですね。

このトラップへの対処法

行動レベルでチェックするには、次の質問をしてください。「わたしは、相手が何を望んでいるか確認したか?」

これをしなければ、どんなに親切な内容でも、自分の意思で相手を変えようとするコントロールになります。

それが相手にとってデリケートなテーマであるほど、コントロールは拒絶されます。あなたの商品や啓蒙が大事なテーマであるほど、その可能性は大きくなるでしょう。

デリケートなテーマ、重要な局面にある人は、「愛以外の何ものも受け取らないぞ」という盾を持っていて、その盾は正当なものであると考えてみてください。

心理コンサルティングでも、心理セラピーでも、必ずクライアントが何を望んでいるかを確認します。

良い商品を熱心に勧めているのに相手が嫌がるとき、あなたは本当は今どんな気持ちになっているのでしょうか?

良いことを教えようとしているのに相手が嫌がるとき、あなたは何故その”良いこと”を教えようとしているのでしょうか?

この問いを立てることは、私たちにとってかなり難しいことです。自動的に「なぜ相手が嫌がるのか」を考えています。

しかし、このトラップに気づいたときに、自分を責めてはいけません。(ここ地味に重要)

このトラップが生じるおおもとには大事なものがあったりします。そこまで遡る必要もあります。

それがあなたの問題なら、相手ではなくて、あなた自身を癒しましょう。

それが人の問題なら、その相手がその人なのか知りたくなるでしょう。相手が何を望んでいるか確かめずにはいられなくなります。

でも、自分の心の闇に騙されないでください。たいていは前者です。騙されると無限ループに入りますよ。

実践エクセサイズ

おまけのエクセサイズです。上述のようなことになったとき用。

Q1.相手の願いは何かを明らかにしてください(確認できなければ想像する)

Q2.自分はなぜ押し付けてしまうのかを明らかにしてください。

注意:まずは自分の願いを明らかにするのではありません。Q2の答えは自分の願いではなく、自分の情緒・感情です。

注意:まずは自分の願いを明らかにするのではなりません。Q1の答えとして、「相手に喜んでほしい」と言う人もいますが、それは相手の願いではなくて、相手に関する自分の願いであることに気づいてくださいね。

心理コンサルティングでは、問いを次のように変更してみます。

私の願いは○○。なのになぜあの人は○○するのか/しないのか?

あの人の願いは○○。なのになぜ私は○○しようとするのか?

(これは、商品や啓蒙のマーケティングが目的の場合です。心理的にトラブル解消なら「私の感情は何?」だけも可)

※当サイトの記事には実践経験に基づく意見や独自の経験的枠組みが含まれます。また、全てのケースに当てはまるものではありません。ご自身の判断と責任においてご活用ください。

※当サイトの事例等は事実に基づいてはいますが複数のケースや情報を参考に一般化して再構成、フィクション化した説明目的の仮想事例です。

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