複数のカウンセラーに相談してよいか?

「複数のカウンセラーに相談してよいか?」 最近、このトッピクについて質問されることがあります。いくつかの観点があるのですが、その一部を書いてみます。

私は概ね「よい」と思っているのですが、「よくない」ケースとしてどんなのがあるかなと考えてみました。

手法が影響しあう

ある手法にのっとってカウンセリング/セラピーを進めているのに、別のカウンセラーが手を出すと「船頭多くして船山に上る」みたいなことになる、というのは考えられるかと思います。

この場合、「他のカウンセラーの意見をきかない」というよりは、「同時に複数のナビを受けない」ということかと思います。

私の場合は、他のカウンセリングを受けている(なんらかの効果を感じている)ならば、そのカウンセラーに相談してから来ることを勧めたりします。逆に私のカウンセリングを受けている人が他のカウンセラーに相談することは止めることは殆どありません。

「これから実施するセラピープロセスの間は、途中で別の手法に手をださず、これに集中してください」と言うことはあるかもしれません。

言葉の次元が違う

これも同じようなことかもしれませんが、複数のカウンセラーが違ったアプローチをとることがあります。

たとえば、暴言をはく夫と別れるかどうか迷っている、というご相談の場合。

カウンセラーAは別れないことを前提にアドバイスするかもしれません。それは、Aの経験から別れずに克服して幸せになる見込みが高いと判断した、一つの正解かもしれません。

カウンセラーBはひたすら傾聴してアドバイスしないかもしれません。それは、Bの経験から本人は自分の力で決断できるだろうと信じていて、本人の気持ちを優先するというアプローチなのかもしれません。

カウンセラーCは、相談者が「一緒にやっていかなきゃ」と言ったときに「別れるのも悪いことではないと思います」と言ったりします。これはCの経験から、「しなきゃ」という決断は苦しみを招くことが多く、「そうしたい」という決断が克服の力になるという考慮からかもしれません。「別れない」が正解だったとしても、それを「べき」や正解として選んだ場合と、「そうしたい」とう自分の気持ちで選んだ場合とでは、その後の困難が違ってくるというわけです。

「しなきゃ」から「そうしたい」へと成長するには、一旦「どちらの選択もOK」という気持ちを体験する必要があります。「別れてもよい。それはそれで大変だし、世間がなんとか言うかもしれないけど、それでも自分はその選択をすることができる。それは悪くない」という気持ちと、「別れずに克服する。それは大変だし、愚かだと思う人もいるかもしれないけど、それでも自分はその選択をすることができる。それは悪くない」という気持ちと、両方OKの感覚を掴んだうえで、自分がしたい方を選ぶ。そのために、相談者が「しなきゃ」と言ったら、逆もOKと返すわけです。

これらのカウンセラーA、B、Cは言うことが全然異なり、逆だったりもします。なので、複数のカウンセラーに相談すると混乱があるかもしれません。

しかし、言葉尻ではなくて、カウンセラーとの対話体験を活かすというのなら、複数のカウンセラーに相談しても上手くいく可能性があります。私は自分がクライアントのときにはそうしていました。

あとになって重要だと判るセッションもある

一回のセッションで効果があるとは限りません。嫌な思いをするだけのセッションもあるかもしれません。しかし、それも実は重要なプロセスかもしれません。

「あー、このカウンセラーもダメだ」と吐き棄てるのではなく、一つひとつのセッションを大事にしましょうという意味で、ころころカウンセラーを変えない方がいいという意見もあるかと思います。

私がクライアントとして経験した重要なセッションのうちのいくつかは、そのときは効果や価値を感じなかったものがあります。それらは全て一人のカウンセラー/セラピストによるものではありません。

つまり、「カウンセラーを変えてはいけない」のではなくて、「カウンセラーを全否定せずに、得られるものを得るように心がけよう」ということになるかと思います。

カウンセラーを変えることと、カウンセラーを全否定することは別のことです。

「カウンセラー/セラピストを変えるのもいいけど、コロコロ変え過ぎない方がよい」とも言われます。

私の個人的な感覚としては、「他へ行ってはいけない。私のところだけに来なさい」というカウンセラーやセラピストはあまり好きではないです。でも、そういう人の方が人気があったりもします。それもまた相性なのかもしれません。

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