前回、こんなことを書きました。
怪我なら、治せばいいんです。ですが、その悩みの根本が人生のテーマである場合は、しっかりと人生の一側面として大切にしないといけない。
「怪我」と表現したのは、恐怖症とか、ショックトラウマのようなものが当てはまりやすいです。犬に噛まれて犬恐怖症になった場合などは、セラピーで治しちゃえばいいんですね。実際のところ、セッション1回で解決してしまうことが多いです。
これらのケースは、向き合うへき感情が「恐さ」であるように思います。人間にとって最も向き合いたくない感情ですので、思い切りは必要ですが、やってしまえば結果は出やすいのです。
「人生のテーマ」と表現したのは、愛着スタイルとか、絶望など。これらは、「治しましょう」と言われると違和感がある。
向き合うべき感情としては、「恐さ」と「悲しみ」があります。この悲しみというのは、心理的な問題を解決するだけでなく、生き方を変えてしまうもの。解決したいと決めた問題の先に、別の未知な世界を発見してしまう。それは、ユートピアとして想像していたものとは違う未知の世界。脱出するだけでなく、スタートしてしまう。だから、どうしたいのかが問われ続ける。苦しみには意味がありすぎて、捨てるわけにはいかず、手放してすり落ちてゆくのを見届けるようなものかもしれません。