「愛着安定化」の心理セラピー

愛着安定化のためのセラピーについて書いてみます。

ただ、愛着障害というのは原因論っぽい言葉なので、「愛着障害を解決したい」という依頼は受けていません。ラベリングや原因論ありきではなくて、どうなりたいかという相談を承っています。「愛着障害」なんてのはラベルにすぎず、愛着理論に着目したアプローチや方法があるだけです。そのアプローチがご要望を叶えそうなら、その心理セラピーを提案させていただくことになります。

「セラピストの言葉が呪いをかける」と戒められていること

「わたし愛着障害なんです」という言葉

たとえ愛着障害であっても目的や価値観によって、向いていない人もいます。

克服プロセスの全体像

愛着不安定をなおす方法なんてものはありません。あなたの道があるだけです。

とはいえ、一応の成功パターンというか枠組みはありまして、俯瞰的には克服プロセスは次の3段階と捉えています。(参考:『愛着障害の克服』(岡田尊司著)。引用ではなくて参考)

1.愛着安定化
心のタンクを満たす
2.対人関係修復
家族や仲間との良い意味での依存関係をつくる
3.トレーニング
メンタライゼーションやNARMトレーニングなどにより、新しい世界観や行動パターンを獲得してゆく

Kojunの提供している心理セラピーはほぼ「1.愛着安定化」に相当するものです。私のクライアントは指導のようなものを必要としない主体性のしっかりした方が多いので、「2.対人関係修復」「3.トレーニング」はご自身で勝手に実践してしまいます。「1.愛着安定化」だけは独りで行うことが困難なので、心理セラピーはここに集中します。

愛着安定化の目的

一般的には3才くらいまでの幼児期に母親的な養育者から抱っこされたり世話をやかれたりすることで、心のタンクの中に「安心感」が溜まってゆきます。なんらかの事情でその「安心感」をもらい損ねた場合に愛着不安定(愛着障害など)になったという仮説を採用しています。オキトシンなどの物質は考慮しません。

この得られなかった「安心感」を受け取るのが愛着安定化の目的です。

愛着不安定の人も、このタンクの中に「安心感」が入ってくる経験をしたことがあることが多いようです。しかし、愛着不安定の人のタンクの中の「安心感」はことあるごとに減ってしまうのです。しかし、ひとたびタンクが溢れるまで「安心感」を入れると、それは減ることはなくなります。

これを「内なる安全基地ができた」と表現することもあります。

そのようにして、愛をもらう人から、愛を与える人へと変わってしまう。周囲の人が「人」であることが見えてきたりします。

愛着安定化の方法

Kojunのところではイメージワークと単純化されたロールプレイを通して行います。概ね「心を開く」と「安心感を注ぐ」の2フェーズになります。

カウンセリング面談スタイル(岡田尊司氏など)よりも、集中的に行うものです。また、直接に親と話したり手紙を書いたりする方法(スーザン・フォード氏など)はしませんが、イメージワークの中では仮想的にそれに似たことを行う場合があります

「心を開く」

「心を開く」は、凍りついた感情を解放するもので、ケースバイケースです。孤独という恐怖からの救出、複雑性PTSDの解除、対決、怒りの解放などを行います。「安心感」が得られなかったケースの例としては次のようなものがあり、開くアプローチも様々です。

  • 養育者が不在気味だった
  • 養育者が危険な存在だった
  • 養育者が与える側でなく求める側だった

また、回避型愛着障害といわれるタイプでは、愛を受け取ることへの恐怖が凄まじく、心が開きません。その場合はまずは恐怖に慣れる必要があり、ほとんどワークが機能しない可能性があります。そのような場合は準備の実践を伝授します。

隠れた感情をみつけて大切にするワークになります。

養育者に対する当時の不満などを言葉にするワーク場面では「諦めました」「どうせ親は変わりません」という気持ちになることがありますが、それは自分自身のためのワークになりません。これが心が閉じている状態です。キレるのも同様に、心が閉じていて、自分自身のためのワークになりません。諦めたりキレたりするのは、親を変える努力です。「親に〇〇でいてほしい/ほしかった」などが言えるのが、自分自身のためのワークです。逆のように思えるでしょ? 論理と心理(真実)は逆なのです。でもホントはそうかもしれないと思える人はこのセラピーが向いているかもしれません。

そしてさらに興味深いのは、「心が開く」ということは「心が閉じる」必要があった自分を認めてゆるすことでもあります。ですので、この「心を開く」セラピーが向いていない人がいるのも自然なことです。

心理療法とはいいながら、私は克服させるメソッド・治療法をもっていません。克服したい人がいれば道が開けるというだけです。

「安心感を注ぐ」

単純化されたロールプレイによって暖かいものが流れ込んでくる体験をします。

心理セラピーで失敗しているケースや、日常生活で悪い意味での依存になってしまうのは、ここだけをやっている場合に相当します。それは「貰うけど受け取らない」ということになります。そのような場合は、ワークを中止することもあります。

うまくいけばタンクに「安心感」が溜まるということがどういうことなのか少し実感できるかもしれません。「もっと欲しくなる」と「溜まる」の違いが分かればしめたものです。この体験を数回繰り返すことで愛着安定化が実現されます。心理セラピー(心理療法)の中では、例外的に回数を要するものです。

少しずつですが、最初の少しをできた人は、いずれタンクを満たすでしょう。やがて心理セラピー以外にもタンクに注がれる体験があることに気づき、心理セラピーを必要としなくなります。そして、上述のように溢れてしまえば、与えたくもなります。

Kojunのセラピーでは、その場で成果を出すことよりも、何が起きているか知ることを大切にします。

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