いったいそれは何なのか?
一つには、なんだか嫌なアドバイスをされるのではないかという気持ちがあるかもしれません。
それはそれで、ある程度は必要な警戒かもしれません。
逆に言うと、相談しやすい相手とはどういう人なんでしょうか。
それは、応援されている感じか、説教されている感じか、とでもいうものでしょうか。
アドバイスなどせずに、ただただ聴いてくれる人もいいかもしれません。でも、アドバイスが欲しいときもあります。
アドバイスが欲しいけど、誰にでも相談できるわけではない。そんな気持ちのとき、私たちは、どんな人を探しているのでしょうか。
Points of You 実践講座 Doing編で扱っている「行動」というテーマを例にして、具体的に解き明かしてみたいと思います。
たとえば、「とにかくチラシをたくさん配布したいんです」と相談してみます。すると、「チラシをまくことが目的ではないよね。どんな効果を狙って誰に配布したいのか決める必要がある。そもそもチラシをまくことがいいのかよく考えよう」というようなことを言われることがあります。ごもっともです。
一方で、「チラシをたくさん配ってみようかと思ったんですが、そもそもチラシをまくことがいいのか、何を狙って誰に配布すればいいのか、ちゃんと決めないと・・・って悩んでるんです」と相談してみます。すると、「あのな、考えててもはじまらないよ。とにかく思ったことはやってみないと。考えるのは動いてから」というようなことを言われることがあります。ごもっともです。
考えることも行動することも必要です。それに対して、人は、考えている人には動けと言いたくなります。動こうとしている人には立ち止まって考えろと言いたくなります。アドバイスしようとすると、本人が既にやっていること、やろうとしていることと逆を示してしまうという性質があります。それをされると、本人は動けなくなってしまいます。
このような2つの矛盾した指示に挟まれることを、ダブルバインドと言います。組織論でも、2人の上司がいる組織構造を「ツー・ボス」と呼んで懸念するのは、動けなるからでしょう。
ですので、これからやろうとしていることと違うことを指示するアドバイスは、軽めに受け止めたほうがよいかもしれません。(もしかしたら大事なヒントかもしれないので、無視もできませんが)
よいコーチやカウンセラーなどに相談したときは、そういうことが起こりにくいはずです。(プロも人間ですから、そういうことが一切ないわけではないです。すみません)
プロは、その人の意思を尊重します。それは心構え、姿勢、考え方と言われますが、実は上記のような場面で具体的な行動(言動)に表れます。
心理の専門家が何か助言をするときは、できるだけダブルバインドが生じにくいように対話します。
相談したいことがあるけど、相談しにくい。アドバイスが欲しいけど、誰にでも相談できるわけではない。そんなとき、上記のような視点で、自分を応援してくれそうな相談相手を探してみるのはいかがでしょうか。
また、ダブルバインドに慣れ過ぎて、自動反射的に自分自身でダブルバインドをつくりだしてしまう性質の人もいます。それが長く続いているのであれば、心理セラピーで解決できる可能性が高いので、ご相談いただければと思います。