克服の勇気:心理実践に向き合う自分へのサポート

心理セラピーは、私たちが内面的な問題に向き合い、成長や回復を促進する貴重な手段です。しかし、心理セラピーや心理実践に取り組むことは、誰にとっても容易なことではありません。時には、ハードルや障壁が私たちの前に立ちふさがり、進むことが難しく感じることもあるでしょう。

心理セラピーや心理実践に取り組むことがなかなかできない方には、まずハードルを認めることをお勧めしますが、さらに先人たちからのヒントをお伝えしたいと思います。

ハードルを取り除くか、乗り越えるか?

ある種の心理セラピーは、私たちが自らの心の奥底に向き合い、成長や回復を可能にします。苦手な物事や記憶に触れることもあります。心理セラピーは自己を知り、認めることから始まり、過去のトラウマや心の傷を癒すために進んでいく場合もあります。そのような過程で、私たちはハードルや壁にぶつかることもあるでしょう。

ハードルを取り除くことができるのであれば、その方法を考えてみることも大切です。また、ハードルを取り除くための助言を求めることも有益な方法かもしれません。しかし、すべてのハードルを取り除くことは難しい場合もあります。そんな時は、ハードルを乗り越えることを考えることが重要になる場合もあるでしょう。

最後に述べるとおり、無理して頑張ることをお勧めしているわけではありません。

では、具体的にどのようにしてハードルを乗り越えることができるのでしょうか? ここでは、心理セラピーにおける視点として、「望み」と「見通し」という二つの要素に焦点を当ててみたいと思います。

「望み」は、自分自身がどのような未来を望んでいるのか、どのようになりたいと願っているのか、という内なる欲求を指します。そして、「見通し」とは、心理セラピーや心理実践が自分にとって上手くいくと期待できるかどうか、という視野の広さを意味します。

望み – 今この瞬間という贈り物

「望み」は、自分自身が”本当は”どうなりたいのか、どうなりたくないのか、です。

トラウマ等はあなたが選んだものではないでしょう。しかし、克服実践をするかしないかは、私たち自身の選択です。そして、その選択が生き方を形作ります。

支援者は、私たちがハードルを乗り越えることで回復が促進されると言うかもしれません。しかし、とくに心理セラピーの未経験者にとっては、それが大変なことのように思える場合があります。「克服しないほうがマシだ」と感じることもあるかもしれません。

しかし、選択のように現れる様々な気持ちについて、それが自分の「望み」なのかどうか知る必要があります。支援者の「望み」でもなく。

自分の「望み」を知るにあたって、考慮して頂きたいのは、過ぎ去った時間だけは戻ってこないということです。

それは見逃されがちなことです。焦らないことや、立ち止まる時間もまた貴重なプロセスだったからです。

トラウマや心の傷によって実現できなかった可能性や、失われた時間は取り戻すことができません。ですが、今この瞬間はまだ手に入れることができる、とてつもない贈り物です。

ちょっときつい話になったかもしれません。ですが、先人達からの大切なメッセージでもあります。そして多くのクライアントが何歳であろうと人生の後半を自分を存在させて生きようとしています。

そのことは自分に教えてあげましょう。

「望み」は、私たちがどのような未来を望むのか、どのように自己を実現させたいのか、という内なる欲求です。それを持つことで、ハードルを取り除く力や乗り越える勇気が湧いてくることもあるでしょう。

今という大切な贈り物を手のひらの上などに意識して、「望み」はなんなのか問うてみましょう。

見通し – 事例と物語の重要性

「見通し」とは、その心理セラピーや心理実践は上手くいくと期待できるだろうか、ということです。

やってみて実感があるなら、そこから「見通し」を感じることができるかもしれません。しかし、山あり谷ありの実践であれば、中長期的な視野で実践を納得していることは重要になります。

お悩みが症状のような比較的客観的なものであるならば、手法の統計的エビデンスも「見通し」になるかもしれません。しかし、どちらかというと支援者にとって実感をイメージさせるものです。

それが支えとして十分でないならば、事例や物語を探すことをお勧めします。

統計的エビデンスに基づく効果は一つの指標であり、確かに重要な要素です。しかし、私たちが共感し、感情移入できる具体的な事例や物語は、私たちの心に響く別の力を持っています。統計では分からない個人の経験や感情が、私たちに希望を与え、心の中で共鳴し、進む勇気を与えてくれるのです。

統計的エビデンスだけでなく、心理セラピーのような主体的な実践の場合には事例・物語が重要になる傾向があるように思います。

後者は平均値という集団の影ではなく、具体的な個の気配を感じるものです。その実践過程でどんなことが起きるのか、克服するとはどんな感じなのか、生々しい話を聞くことで「見通し」が得られます。

心理セラピーは何を話すか、何をするか、宿題をどうするか、決断の連続だからです。

「多くの人がそうなんだから、あなたもそうなんじゃないの」という普遍性ではなく、「数は多くないけど、こんな人もいます」という個の存在の方が力を与えてくれることがあります。

「無理しない」と「諦めない」は別のこと

少しずつしか進めないとしたら、「望み」と「見通し」を持ちながら、事例や物語から力を得ることが大切だと思います。

また、「無理をしないこと」と「諦めないこと(やめないこと)」の区別も大切かと思います。心理セラピーなどの実践に進めなくなっている人の多くは、「無理をするか、諦める(やめる)か」の二者択一になっています。「やるからには無理をしなければいけない」「無理なら諦めるしかない」となっています。お勧めは、無理をしないことと、諦めない(やめない)ことです。たとえば、手応えを感じているカウンセリングが苦しくなったら、やめるのではなく、無理するのでもなく、相談するのがよいと思います。苦しさへの対処を相談したり、ペースを落としたりです。

無理をしないといことは、諦めることではありません。

諦めないということは、無理をすることではありません。

心理セラピーは、一人で進む孤独な旅ではありません。ある師匠は「独りでやらなくていい」が口癖でした。支援者のみならず、回復するにつれて出会える人の範囲も広がります。直接会わなくとも旅の同士がいることも感じられるようになります。

※当サイトの記事には実践経験に基づく意見や独自の経験的枠組みが含まれます。また、全てのケースに当てはまるものではありません。ご自身の判断と責任においてご活用ください。

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