Kojunセラピーと短期療法

「短期」の意味

短期療法と言っても、必ずしも時間制限をすることで急かすわけではありまん。セッション回数や時間制限を設ける手法もあるようですが、時間を意識はするもののそのような制限を設けない短期療法もあります。

短期療法の共通点は、目標を定めて焦点化するという点と説明されることが多いようです。

短期療法の治療者は、治療同盟を最大限高めることで患者の治療抵抗を能動的に避け、患者が治療にすぐにとけこめるように治療アプローチや目標を設定する。

『短期精神療法の理論と実際』p.9 N.N.Steenbarger,R.P.Greenberg,M.J.Dewan

※「治療」という医療っぽい言葉が出てきますが、Kojunの心理セラピーは医療行為ではありません。

2つのブリーフ・セラピー

ブリーフ・セラピー(簡易療法/短期療法)は50種以上の心理セラピー(心理療法)が該当する言われています。それをあえて大別すると、認知行動療法的なもの、短期力動的なものがあります。

Kojunの心理セラピーは認知行動療法に近い見立て(主に心理カウンセリング)を行いつつ、力動的な方法(主に心理セラピー)で変化を促します。

J.F.クーパーはブリーフ・セラピー(簡易療法/短期療法)の特徴を次のようにまとめています。

  1. 明確で具体的な治療の焦点を維持すること。
  2. 時間を意識的および良心的に利用すること。
  3. 目標を、明確に定義された結果のあるもに限定すること。
  4. 介入は現時点でのことを重視すること。
  5. 迅速な査定をすることと、治療のなかに査定を融合すること。
  6. 治療の進み具合を頻繁に振り返ることと、効果的でない介入を放棄すること。
  7. セラピストとクライアントに高いレベルの活動性があること。
  8. 技法を実用的かつ柔軟に用いること。

『ブリーフ・セラピーの原則』J.F.クーパー著

これらの視点を借りて、Kojunの心理セラピーを振り返ってみます。

明確で具体的な焦点

これは「短期療法」の定義ともいえるもので、Kojunの心理セラピーにも当てはまります。

まず、クライアントが何をお求めなのか、注文、要望を確認します。心理セラピーの目的をクライアントに尋ねるってことですね。クライアントが「うつ」だったとしても、「うつを改善したいです」と言わない限り、うつ改善の心理セラピーはしません。(「うつになったことをきっかけに、生き方の相談をしたい」なんて要望もあります)

次に、クライアントの要望、すなわち解決したお悩みの根本原因となるものは何なのかを話し合います。

お悩みに関する普段の場面において、認知行動療法と同様の枠組みを使います。すなわち、思考・感情・身体・行動に何が起きているかから、中核信念とかスキーマのようなものを推定します。

これが焦点を定めることに相当します。また、これが短期に心理セラピーが終結する理由でもあります。

時間を意識的および良心的に利用

「短期療法」と言いながらも、何回以内で終わりますというような期限をもうけることはしていません。結果的に短期になるという感じです。

また、クライアントのペースに合わせますので、先輩セラピストたちからは「待てる」セラピストと評されていました。どちらかというと、あまり急かさないです。前項にあるように、目的から外れないように話を戻したりはしますが、基本的に時間をかけるかどうかはクライアントの主体性を尊重しています。

目標を明確に定義された結果のあるもに限定

これは「どうなりたいですか?」「どうなれば解決ですか?」という問いに表現されるかと思います。かつてはKojunもこれに拘っていたのですが、最近では抽象的な言葉で表現されるような目標も受け入れています。

「少しでも楽になればいい」のような基準のあいまいなものや、「自分を解放したい」というような客観的に達成を確認できないようなものでも、そこにクライアントの切なるニーズがあれば扱うことができます。

現時点でのことを重視

過去を扱ったりはしますが、あくまで現在困っていることの解決のために行います。原因探しそのものを目的とすることなどはありません。ですので、この項目は該当します。

迅速な査定、治療のなかに査定を融合

査定(アセスメント)というのは、医療でいうところの診察や診断のようなものでしょう。何が起きているかを推し量るということ。

お悩みの根本原因の仮説と、促進要因とか、阻害要因とかでしょうか。

形式的な心理検査というのはしません。

1回目のセッションで行います。以前は10分くらいでしたが、いまは1セッション使います。

途中でも行います。ワークの途中で「いまどんな感じ?」と尋ねると、クライアントさんたちは驚くくらい正確に状態を答えてくださいます。

ワークに対するクライアントの反応から見立てを修正してゆきます。

ワークを行うと、狙い通りの変化が起きるか、新たな査定が生じるかのどちらかです。ですので、マニュアル通りに進まなくても焦ることはありません。おやっと困ることはありますけど。

治療の進み具合を頻繁に振り返る

これは行います。むしろ行詰ってからが本番。

セラピストとクライアントに高いレベルの活動性

基本的にはクライアントは主体的で解決に前向きな人が申し込まれます。遠方からのクライアントは何度も来れないので、一回のセッションに本気で挑む方も多いです。

セラピストは話を聴くだけではない、いわゆる積極技法を用います。言葉や動作を試すように促したり、適度に挑戦的なワークを提案してゆきます。無理強いすることはありませんが、クライアントの力を信じてセラピストもかなりのエネルギーを使います。

活動性が高いと言っても、落ち着かない雰囲気ではありませんので、静かに燃える炎と表現する人もいます。

技法を実用的かつ柔軟に

かなり柔軟です。いま流行りのパッケージ手法も参考にはしていますが、一人ひとりのクライアントのためにオーダーメイドのセッションを提供します。

標準的な手法通りに進まない事態になってからが本番と考えています。そのような行き詰まりをクライアントと共に楽しめる力を「お手上げ力」と呼んでいます。

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