Kojunは心理相談やワークショップで無意識を扱います。あやしいですよね。
お会いすることなく教えるのは難しいのですが、あやしくなくなる程度に説明してみたいと思います。
そのアプローチの1つに「五感を使う」を紹介してみたいと思います。このアプローチをとる場合、Kojunは3つの方法を同時に使っています。
なお、これらはご自身のための実践であって、他人の無意識を暴いてやろうなんていう心理セラピストの真似事はしないでください。人間関係をこわす恐れがあります。
無意識にアクセスする目的
無意識下に隠れているものは、思考であったり、感情であったりします。
無意識に隠れている思考にアクセスすると、問題の本質や解決法が得られたりします。この場合は「発想法」と呼ばれます。
たとえば、「やっぱり私はあの仕事がしたいんだ」ということが実感をもって意識できたり、「時間がないって言ってたけど、ほんとうは失敗が怖かったんだ」とか、「資格がほしいのは、実は〇〇さんに負けたくないからだ」とかですね。
無意識に隠れている感情にアクセスすると、いわゆる感情の解放が起こりやすくなります。それによって自己一致やカタルシスが起こり、心の悩み(自身の感情や行動のトラブル)が解決しやすくなったりします。
しかし、無意識下にあるものに触れたり、それを解放するのは難しいです。なぜなら意識できませんから。
方法1:投影(投映)
写真カードを使ってみましょう。この写真があなたの人生だとしたら、どのような意味を表していますか?
「私の人生は危険な綱渡りだ」「私は人に助けられてきた」「私は槍で獲物を捕る」など、様々に捉えられます。それは見る人の心を反映していると言えるでしょう。
もちろん、コツがあるので、簡単ではないかもしれませんが、上手くガイドされれば無意識にある人生観が言葉になって出て来ることは想像できるでしょう。
映し出されるので、投影(投映)と言います。
お遊びの心理テストなんかは、回答によって分析者が答えを決めつけますが、Kojunのセッションでは決めつけることなく、本人中心の対話の材料としてゆきます。
占い師が水晶玉を見つめるのも、もしかしたら相談者に代わって投影を見ようとしているのかもしれません。
方法2:マインドフルネス
聴覚を使ってみましょう。落ち着いた環境で、静かに瞑想をしてみてください。身体を意識してみましょう。たとえば、足の裏が床についていることに気づいてください。
しばらくしたら、どんな音が聞えるか意識してみてください。普段意識しない音がいろいろと聞こえてくるでしょう。
それらの音に気づきならが、聞き流します。
気づいているけど、反応しないということを練習します。身体を意識しながら、音も聞こえている。だけど何もしない。
これが「あるがまま」を眺めている状態です。その状態で問いかけてみましょう。
私はいま何を求めているのだろうか?
これもまたコツがあるので、そう簡単ではないでしょう。しかし、率直な答えのようなものに触れやすくしているのはわかるのではないでしょうか?
「できません! 私は瞑想が下手なのでしょうか? あーもうだめだあ」とか思う人は、マインドフルになっていないということなので、ゆっくり練習が必要です。
方法3:脱ダウンロード・脱ロジック
これは、ロジックを使わないこととでもいいましょうか。
写真カードを使ってみましょう。この写真を数十秒間眺めてから、手で隠すか画面をスクロールして写真を見えないようにしてから、続きを読んでください。
さて、何が写っていましたか?
パンとトマトと答える方が多いように思います。
「それらは温かいですか? 冷たいですか?」と質問されたときに、「サラダとしてのトマトは温めないでしょう。だから冷たいはずだ」と考えて答えたとしたら、それはロジックが作り出した答えですね。
ロジックを使うと無意識に隠されたものが現れにくくなります。たとえるなら、「上司が喜ぶように部下が報告をする」答え方に似ています。
ところで、先の写真にパンは何個でしたか? まん丸い形のパンは何個でしたか?
視覚を記憶していれば答えられるはずですが、たいていは「パン」という概念を記憶しているので、答えられません。つまり、観ているつもりで、観ていないのです。視覚を見ないで概念を見ているのです。
あらためて写真を見てください。答えられますね。そのとき、あなたは写真を本当に観ています。
先ほど見ていなかった他のものも見えてくるでしょう。
このようにして、本当に観るという実践をしてゆくと、だんだんとロジックや知識や規範というものから意識が離れてゆきます。
思考を使わずに観るという感じですが、それは思考停止ではありません。思考を感覚と取り違えるのをやめて、感覚を使うことで固定観念から自由に思考するのです。
その状態を保ったまま、自分に問いかけると無意識にアクセスしやすくなります。
この本当に観る状態はU理論のSensingに相当し、ハッと見えて気づきの瞬間はU理論のPresensingに相当します。
ワークショップでこれをやってもらうと、参加者は興奮の叫び声をあげます。
脳科学者の話
脳科学者の養老孟司先生が、講演会でホワイトボードに次のように書きました。
赤
そして驚きの口調で言います。
「これは何色ですか?って尋ねると、多くの人が「あか」って答えるんですよ! どうみても「くろ」でしょ!」
そういうことです。人は観えたままのことが言えないのです。感じたままではなく、こうあるべきだとか、こう言わないといけないということが先に出てきます。
人間がそうなるには、そうなる理由があるのですが。
「頭で考えちゃだめ」とか言ってポカーンとしても無意識にはアクセスできません。そこで、五感を使うわけです。