苦しい考えに囚われるのは幸せのヒント

アダルトチルドレンが守っているもの

とくにアダルトチルドレンや長期化する広義トラウマのある人は、苦しさの外的要因が加わり続けているわけではないのに、その苦しみをなかなか手放さないということがあります。

環境は解決しているのに、心は囚われている。

そして、周囲の人はというと、明るく気持ちを切り替えるようにアドバイスしたりします。

気分を切り替えると楽になるというライフハックくらいは本人も既に知っているのですが、苦しい気分に留まろうとすることがあります。

苦しみから気を逸らす技術を身につけながらも、大事に自分を見つめ続けるアダルトチルドレンや広義トラウマの人たちを見ると、何かを守っているようにも見えます。

Kojunから観るとは、クライアントは小さな蝋燭の炎を守りながら隠し持ってきたように感じます。

それは言葉にしたことのない「ほんとうは僕は悪くない」とか「ほんとうは幸せになってもよい」とか「私は諦めない」といったものです。

この「小さな蝋燭の炎」は、近年注目されているトラウ・マインフォームド・ケアでは「レジリエンス」と呼ばれているようです。かつてはレジリエンスという言葉は、支援者や雇用者にとって都合の良い柔軟性(従業員が嫌な仕事にも耐えてくれるみたいな)として理解されていましたが、最近ではその奥にある、希望を待っているなにか、世界が応えるべきもの源のように本質が捉えられているのですね。

「分かってもらえない」という呪い

私のクライアントは「ずっと分かってもらえなかった」「やっと言えた」なんてキーワードがよく出ます。

「やっと言えた」は「やっと自分に分かってもらえた」と翻訳できます。

直接的な被害や不自由が過去のものとなっているにもかかわらず、苦しい気持ちを切り替えたくない。それは、実は分かってもらえない何かを、せめて自分は分かってあげようとしている状態のようでもあります。

そんな本人にとっては、気持ちを切り替えるようにアドバイスされることは、「分かってあげなくていいぞ」という意味のストロークとなります。ですから、なおさら本人は頑なにその苦しい気持ちを守ろうとするわけです。

ひとつの視点に過ぎませんが、もしあなたの悩みが過去を忘れる、未来のことをを考えるようにすることで解決しないのだとしたら、参考になるのではないでしょうか。

自分を傷つけたこと、もしくは失われたこと、すなわち原体験が過去のものであるからこそ、もう終わっているからこそ、それは残り続けるのでしょう。

それをKojunは「置き去りにされしもの(the left behind)」と呼んでいます。

それは無意識の中で助けを呼んでいます。「苦しみを手放さないで」と訴えているのです。

それと出会う体験は、インナーチャイルドとして自覚されたり、得体の知れない身体感覚として自覚されたり、とつぜん言語化されたりと、チャネルは様々です。

「では、分かってあげよう」で解けるほど簡単ではない

では逆に共感されればよいのかというと、簡単には「分かってもらえた」とはなりません。

「そうなんだね、苦しいんだね。ほら、共感したぞ。さあ、共感したから、苦しみを手放しなさい」というのも、「分かってあげないぞ」と同じ意味のストロークになります。

分かるといっても、人の苦しみなんてそうそう分かるものではありません。本人も分かってあげてないのに。

共感や理解を提供すると言うのなら、「苦しいんですね」ではなくて、苦しみを手放せない人が守っている大切なものを理解していないといけません。

ですから、傾聴されても「分かってもらえなかった」と言うのでしょう。

苦しみを手放せなかった人には幸せを諦めない力がある

ご自身も簡単には分からないから心理カウンセリングに来るのです。

心理カウンセリングでは、それを見つめて消化してゆくことがあります。

必ずしも「分かる」わけではないですが、「分かった」と言う人もいます。(体験者の声

消化というのは、その苦しみの意味がわかったり、全体像が見えたり、余計な心配が余計なこととわかったりです。

そのために、苦しみを見つめ留まるということを人はするのだと思います。

見つめ留まるということは、防衛機制やブラインドを少しずつ手放してゆくようなことでもあります。それらは傷つけないために身につけているものですので、それらを手放すことで隠れていた苦しみが出てくることでもあります。

見つめ留まることは、苦しみを手放す目的と、苦しみを感じる(隠れていた苦しみを味わう)というプロセスが合わさっています。

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