カウンセリングやワークショップでは、自分のテーマから逃げるということが起こります。
自己啓発などでは、「殻を破れ」とか「コンフォートゾーンの外へ」などと言って励まします。
その根底には、「逃げる人は弱い人」という評価があります。
しかし、もしも、逃げてしまう人には独特の事情があるとしたら?
「上半身裸になって街中を走る」自己啓発ワークを男性にやらせると、ブレークスルーになるかもしれません。「嫌だったけど、やってよかった。おかげで殻を破れた。もう何もこわくない」となる人はいるでしょう。同じ「上半身裸になって街中を走る」を女性にやらせたら、どうなるでしょう。そのワークからは逃げるでしょう。もし、人生崖っぷちで切羽詰まっていて逃げずにやってしまったら、トラウマになるでしょう。男性の「嫌だったけど」とは次元が違うのです。
自分と向き合うというテーマについても、同じようなことがあります。ある人にとっては、内面に触れながら背中を押されることが心的レイプほどに残酷だったりするのです。
人によるのです。
だからといって、心地よいことだけしていれば、問題は解決せず、人生を棒に振ることも知られています。
逃げる人は弱い人とは限らない。アプローチや支援の仕方が違うのだということです。
私の仕事は、心地よくなってもらう接客業ではなくて、真実に触れて幸せになってもらうセラピー業です。なので、チャレンジはしてもらいます。しかし、何がチャレンジなのかが人によって違うのです。
手を骨折している人に必要なのは、拳で殻を破る勇気ではなくて、足で蹴る勇気です。