ショックトラウマの扱い

ある出来事(虐め、性暴力、暴力、裏切り)のショックを身体や心が覚えて現在の生活に影響が起きているようなケースをショックトラウマとか広義PTSD[1]精神医学の診断基準を満たすPTSDに限らない、また症状のみを指すわけではないという意味です。と呼んでいます。

ショックトラウマのご相談もありますし、他のお悩みを扱う心理セラピーの一部としてそのテーマが表れることもあります。

狭義PTSDに適応する心理療法としてPE(持続エクスポージャー法)が有名ですので、それとKojunセラピーでのショックトラウマ(広義PTSD)の扱いを比較してみようと思います。(PEについて正確な情報は専門の文献をご覧ください)

参考:『PTSDの持続エクスポージャー療法』金吉春、小西聖子

持続エクスポージャー法は4つの要素から構成されるとのことですので、それらと照らしてみましょう。4つの構成要素とは、心理教育(PTSDやセラピーに関する説明)、呼吸法(日常の対処法)、現実エクスポージャー(日常生活の宿題)、想像エクスポージャー(イメージワーク)です。

それらに照らしてみるならば、Kojunセラピーではそれらのうち心理教育と想像エクスポージャーに相当する部分を行っていると言えるかもしれません。

心理教育

心理教育に相当することはKojunセラピーでもやっています。とくに、広義PTSDは自然な反応であるということの説明は重視します。さらにケースに特化した内容、クライアントがずっと隠し持ってきた秘密などについての正当性を確認します。

呼吸法

PEでもワークの中で使うというよりは、日常生活の対処法を教える意味合いが強いそうです。

Kojunセラピーでも、ワークの中で恐怖への対処法として呼吸法を使うことはあまりありません。ただ、ショックトラウマから恐怖症へと見立てが変わった場合には、系統的脱感作を取り入れりために呼吸を扱うかもしれません。また、後述のイメージワークの準備として呼吸を扱うことはあります。

現実エクスポージャー

PEの現実エクスポージャーは、日常生活の中で苦手な場面などに少しずつ近づいて慣れてゆくというようなものです。

Kojunのクライアントの場合、これを必要とする感じがしないのは、出来事から10年以上経過していることが多く、すでに日常の中でこのワークに相当することは既にやってきているということかもしれません。つまり、たいていは表面的には社会生活に復帰していて、本人にしか分からないような形で苦しみを持ち続けているわけです。

イメージ・ワーク

PEの想像エクスポージャーは、トラウマ体験を想起して馴化、記憶の再整理をしてゆくプロセスです。

Kojunセラピーのイメージワークは、トラウマ体験を想起するという意味で似ている、というか想像エクスポージャーを含んでいるように思います。ただ、馴化のプロセスをPEほど回数をかけて丁寧に行うことは多くありません。

Kojunセラピーが丁寧に扱うのは次のようなことです。

出来事を思い出すということ自体にそれほどの抵抗はなく、それを人に言えないなどの個別事情があるケースがあります。たとえば、加害者が信頼していた人であるなどです。

あるいは、出来事を思い出すことへの抵抗がとくに強いというケースもあります。それは出来事を誰かに話したときに受容されなかったというような後の体験によることが多いように思います。

また、暴力被害の瞬間よりも、助けを求めたときに助けることを拒まれた瞬間が鍵になっている場合もあります。そのような場合は、そもそもトラウマ体験の場面を特定するために、ゲシュタルト療法やフォーカシングなどのイメージワークが必要になります。

あるいは、ニグレクトのように暴力場面のような具体性がなく、イメージを思い出すことが難しいクライアントもいます。その場合は、たとえば「親がいないと気づいて、世界が真っ暗になった瞬間」のイメージを見つけるなど作業に比重がおかれます。

トラウマが長期化しているクライアントたちですから、馴化を止めているものがあります。たとえば加害物/加害者のみならず傍観者や助けてくれなかった人たちへの恐怖や怒りなども扱います。そこは馴化(慣れて恐怖が治まる)というよりは精神力動(感情を感じてその役割を終わらせる)に近いように思います。

脚注[+]

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