涙を拭かない心理セラピー

Kojunの心理セラピーは、感情に触れてもらうセラピーですが、感情を出させるというよりは、感情を大切にするという感じです。

感情を大切にするってどういうことなのか、今回は涙について、具体的な例を挙げながら書いてみます。

あなたは誰かが泣いていたらティッシュやハンカチを差し出しますか?

Kojunのグループ・セッションでの涙

グループ・セッションの場合は心理セラピーほど積極的に感情処理を促すわけではないですが、それでも感情を大切にします。

参加者の誰かが話しながら涙を流したときに、他の参加者がティッシュを差し出すことをしないようにお願いしています。実際にはそのようにわざわざ言わなくても大丈夫なことが多いですが。

厳しい言い方をするなら、他の参加者の涙を自分が”いい人”になるための機会として利用してはならないということです。

ティッシュを渡された人は、「あ、すみません。ありがとうございます」とお礼を言うなどしなくてはいけなくなり、その人自身のプロセスが中断されてしまいます。ティッシュを受け取る動作だけでも、相当なノイズになります。

せっかく大切な涙を流しているのに、他者が活躍のチャンスに取り換えてしまうことは、とってももったいないことです。

Kojunの心理セラピーでの涙

心理セラピーや心理カウンセリングのセッション中にクライアンに涙が出てきたとき、「すみません」と謝るクライアントがいます。

そんなときは、謝らない練習をしてもらうことがあります。

それは、感情を大切にしてもらうということです。

涙が出てきたとき、ティッシュを求められることがあります。あるいはご自身持参のティッシュを取りに行こうとされる場合もあります。

そんなときには、ティッシュで涙を拭かない練習をしてもらうことがあります。

ずっと涙を抑えて生きてきたクライアントにとっては、涙を拭かないというのは大きなチャレンジになることもあります。

涙を拭かないということに拘り過ぎるのもよくないので、「拭いてはいけません」と言わないことも多いです。ですが、「できれば涙を拭かないで」と思っています。

頼まれもしないのにKojunの方からティシュを差し出したことはないでしょう。

ご本人から頼まれればティッシュを渡すことはありますが、「涙を拭かなきゃ」というようなメッセージになるような慌てた動作はしません。

できれば、涙を拭くことなど忘れて、感情を大切にしてほしいからです。

※積極的な謝らない練習、涙を拭かない練習などは、心理セラピーを依頼されている関係を前提としてやることです。セラピーを頼まれてもいない人が表面的に真似するのはお勧めしません。ティッシュを差し出して”いい人”になろうとする自分がいればそれをみつけるだけで十分です。

ティッシュを差し出すことは、泣いていいですよという意味になることも、泣かないでくださいという意味になることもあります。

でも、どちらかというと、涙を拭くということは涙を止めることに近いと思います。それは感情を大切にするワークにはそぐわないことが多いです。

段階によってはティッシュがあったほうが話しやすいという場合もありますし、まだクライアントが準備できていない場合もありますので、実際には臨機応変です。それはセラピストにて瞬時に判断します。

でも、心の中ではどちらかというと、「涙を拭かないで」と思っています。

涙を拭いて、キリっと泣かないぞ顔になる癖は卒業してほしいのです。それは戦うときだけ。闘うときはしないで。

服を汚さないように気づかいでティッシュを渡すセラピストもいるようですが、私の心理セラピーでは、服よりも涙の方を何倍も大切にします。

余談ですが、初心者のカウンセラーさんがティッシュを差し出すことに憧れていたりすることもあるようです。まあ、それも人間なので、一回やって満足したらよいと思います。それでもやはり憧れるなら、心理セラピストや心理カウンセラーよりも福祉の相談窓口や看護などのその他の対人支援職などが向いているかもしれません。また、それらの業務においてはティッシュを差し出すほうが正解かもしれませんから。

※当サイトの記事には実践経験に基づく意見や独自の経験的枠組みが含まれます。また、全てのケースに当てはまるものではありません。ご自身の判断と責任においてご活用ください。

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