心理支援の活用の仕方をカウンセリングする、メタカウンセリングを提供することがあります。
私がクライアント側体験をしてきた経験から、心理カウンセラーの使い方のポイントの1つをお話します。
カウンセラーというのは知識や偏見のメガネをかけています。で、それがゆえにうまくいかないことがあるのです。
私なんかはマイノリティ性をいろいろ持っているので、カウンセラーの知識が当てはまらないことだらけなのです。
そうでなくても、カウンセリングとかで、カウンセラーの知識とか経験とかが役に立たなくなるときがあります。
そんなとき、カウンセラーは自分のメガネを手放して、クライアントから学ぼうとするのです。
※病態などによって、これが当てはまらないケースもたくさんあります。
カウンセラー側からみると、自分の知識が通用しないわけですから、お手上げみたいになるんですね。
ですが、このお手上げの直後にプロセスが進み始めることが多いのです。
ここでカウンセラーがお手上げ状態に耐える力を「お手上げ力」と呼びます。(まじめな用語でいうと、ネガティブ・ケイパビリティ―の一種です)
ここから面白い共同作業にはいってゆくのです。
最近はカウンセリングスクールなどで「エビデンスに基づいた知識で、自信をもって相談業務にあたれるようになります」という宣伝をみかけるのですが、「お手上げ力」はその逆で「知識が通用しなくなって、自信をもって相談業務ができない場面」に耐えるという別の種類の自信です。
これは、自分が偉くなくても大丈夫という(人目を気にしない)という自己肯定もあるのですが、クライアントや人間というものを信じているかどうかも含まれます。
私の場合はちょっとズルいですが、私の心理セラピーが役に立たなかった場合のこと(私の捨て方、失敗の役立て方)まで予め伝授しているので、お手上げがあまりこわくないわけです。
クライアント側はなにをすればいいかというと、カウンセラーを助けるわけです。
クライアントからみると、「ちがうー」とか「傷ついたじゃん」みたいなときだったりします。これを適度にフィードバックするわけです。ブチ切れるのではありません。
私がクライアントのときにやっていたのは、カウンセラーがあまり切羽詰まってなさそうなタイミングで、「違和感あります」とか「これ嫌な感じです」とか「ちょっと待ってください」と伝えたりするのです。
お金を払っておきながら、教えるんかい! と思うかもしれませんが、ここで「先生」ではないところに降りてくるのがカウンセラーのプロの力だったりするのです。つまり、「お手上げ力」です。
で、プロセスが進むのです。(あ、ずいぶんとばしましたね)
で、ここでプロのクライアントに求められるのが、カウンセラーに助言しながらも助けを求めるみたいなタッグ、カウンセラーに違和感を伝えるけどコケ降ろす気持ちにならないという境地です。
これはクライアントの病態などにもよって、とても難しかったり、悩み苦しんできたから簡単にできてしまったりします。「お手上げられ力」とでもいいましょうか。
「お手上げられ力」が足りないときに、それについて助言や支えを提供して、他の心理支援者のところに行ってもらのがメタカウンセリングですね。