あなたの悩みを外在化する心理セラピスト

悩みを客観的に眺める視点を「外在化」といいます。(また雑な説明をしてしまった・・・)

「私はパートナーに暴言を吐いてしまう」というのが非外在化だとすると、「私は暴言ちゃんにとりつかれている」というのが外在化です。

外在化には次のような利点があります。

  • 問題から距離を置いて混乱から抜け出せる(脱センタリング、脱フュージョン)
  • 過剰な罪悪感を軽減できる
  • 予測や解決法を探すことがしやすくなる

ここでは、専門技術としての外在化と、当事者性による外在化を比べてみたいと思います。

専門技術として外在化する

これは心理セラピストが外在化のメリットを知っていて、もしくは習得した技術としてクライアントに外在化を促すものです。

病名やラベリングをつけるというのも外在化を促すことに活用されます。「ADHD」とか「摂食障害」と言えば、問題を本人の人格や罪と区別することができます。

診断名がつくとひとまずホッとするのも外在化ですね。

ただ、Kojunはこれを技術として意識することはほとんどありません。

外在化とラベル

ただ、病名やラベル「○○障害の子」とか私は○○です」というようにアイデンティティ化してしまうと、内在化になってしまいます。

これは福祉や教育や医療の現場でよく見られる現象で、外在化のために作られたラベルが内在化を促すように使われるようになります。

これは専門技術が専門知識に成り下がった現象とも言えるでしょう。

外在化するためには、人にラベルをつけるのではなく、問題にラベルをつけなければなりません。

当事者性による外在化

では、当事者性による外在化とはどんなものでしょうか。心理セラピストに当事者性(外在化してきたサバイバル経験)があると、クライアントの問題と、問題に悩むクライアント本人が見えます。

これは元当事者でなくとも、臨床経験(問題に悩むクライアント本人と対話した経験)によっても培われるかもしれません。知識によっては培われません。

野獣の姿をした王子が野獣ではなく王子であることを知るには対話してみて納得するしかないのです。

当事者性のあるネイティブ・セラピストの場合は、魔法で野獣にされた経験がありますから、ある意味では野獣と王子を最初から区別しています。

どこまで我を失っているかはケースバイケースですが、そこに王子のシグナルが出るとすぐにキャッチします。

これは専門技術としての外在化とは異なる感覚です。専門技術としての外在化は、「外在化したら上手くいくぞ(セラピストとして手柄を立てられるぞ)」という期待のもとに行われますが、当事者性による外在化は、外在化という手続きをしなくても最初から外在して見えちゃうわけです。

問題(野獣)を外在化しているのではなく、野獣の中から本人(王子)が出てくる感じです。

本人の感覚では本来の自分が生まれ育つ感じもあります。脱センタリング/脱フュージョンではありますね。

その本人(王子)は、プロセスワークではメタコミュニケーターと呼ばれる語り手に近いものです。カウンセリングに相談に来ている時点で語り手は存在しますから、よほど取り乱していない限り、そこに話しかけるだけとなります。

外在化と所有

さて、責任回避のみを目的とした外在化は、被害者ポジションや絶望ポジションになる危険があります。

解決や癒しのためには、外在化された問題を自分のものとして所有したり、自分の選択として自覚することも必要になります。

ですので内在化というより、同一化(フュージョン)に問題があるのですね。

しかし、心理セラピーではその問題や情動を自分のものとしてしっかり感じることもします。

つまり、自分が野獣になるのではなく、野獣を抱きしめちゃうんですね。

これをクライアントは「自分を許したいんです」というような言葉で表すこともあります。

そのように取り戻さない外在化スタイルは対人関係療法などで「医学モデル」と呼ばれたりもします。周囲の人に本人を責めないようにしてもらうために、本人ではなく病気が悪いんだと捉えるわけです。

Kojunの心理セラピーではしっかりと取り戻してゆくケースが多いので、「医学モデル」外在化ではなく、取り戻しモデル(?)ですね。

イメージワークではあらゆるものを外在化しますが、「不適応」も「ネガティブ感情」も「暴力を受け入れてしまった自分」も精一杯生きた自分として取り戻してゆきます。

技術ではありますが、テクニックではなくアートの方ですね。

※当サイトの記事には実践経験に基づく意見や独自の経験的枠組みが含まれます。また、全てのケースに当てはまるものではありません。ご自身の判断と責任においてご活用ください。

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