カウンセラー、セラピスト、コーチ、コンサルタント等の対人支援プロフェッショナルを選ぶときのポイントにつて。いろいろありますが、最も基本的なところはこれです。
・本人(クライアント)が何を望んでいるかを確認する人であること
契約またはイシューの共有
どんな目的のためにセッションを行うかを確認したり、合意したりすることを「契約」とか「イシュー(関心事)決め」と言ったりします。
契約というのは申込書類のことではなく、主にセッションの始めにクライアントの望みを確認する作業のことです。
目的がぼんやりしている場合にはイシュー(関心事)を決めます。どうなりたいかが明確でない場合でも、「そのことについて扱いたいんですね」という確認はするのです。
たとえば、心理セラピストのところにウツ状態の人が来たとします。ウツ状態だからと言って、ウツの解消のためのセッションをしてはいけません。ご注文は何なのかを確認します。
「わたしウツなんです」
「はい。ご相談は何ですか? このセッションで何が得られるとよいですか?」
「ウツを治したい」とは限りません。「担当医との関係がうまくいかない」かもしれないですし、「ウツになったことをきっかけに生き方を考え直したい」かもしれません。
これが、「ウツを短期間で治すメソッド」を習ったばかりのアマチュアのセラピストだと、勝手にウツを解決をはじめてしまうことがあります。これは「金槌を持つと何でも釘にみえる」現象です。笑い話のようですが、ほんとうによくあるのです。
また、セラピスト自身が目をそらしている心理課題の巻き添えをくうこともあります。たとえば、親や元配偶者への恨みを解決していないセラピストですと、自分の恨みを癒すためのセッションを始めてしまうことがあります。
セラピストも人間ですから、なかなか完璧とはいきません。しかし、ご本人(クライアント)の要望が何なのかまずは知りたいと思っているか、思っていないかは大きな違いとなります。
※対人プロ向けのKojunの講座ではこのあたり詳しく扱っています。
何が問題であるか支援者側が決める根強い伝統
大昔の医療やセラピーは、「何が悪いかを診断して、それを正して直す」ことをしていたようです。「怒りやすい人には怒りを抑えられるようになってもらう」とか、「元気のない人は元気になってもらう」とか、社会に適応させる都合からの視点になっていたようです。
現代では、本人の要望に基づき、本人のためのセッションを行います。
教育現場や福祉施設の職員の事例相談でも、私は「本人は何を望んでいるんですか?」と確認することが多いです。支援者の価値観で支援を進めようとしていることはとても多いです。
福祉や教育の場合は国家がパトロンですから、それもしかたのないことかもしれません。
まとめ
しかし、私設心理相談室や心理セラピーは、社会的な正しさのためではなく、クライアントのためのセッションを行います。ですので、クライアントの望みに最大の関心を払うのです。
あなたの要望に関心の強いプロフェッショナルを見つけましょう。
そして、あなたの目的とセラピストの目的がズレていることに気づいた場合は、そのことについて話してみましょう。多くの場合、分かってくれます。