感情処理はセラピストを選ぶ

ここでは感情処理に基づく力動的なアプローチを感情力動アプローチと呼んでいます。

精神分析と感情力動の違い

どちらも無意識に触れてゆくアプローチではあります。

「意識化する」 ≠ 「頭で理解する」

無意識にあったものが、意識できるようになる。涙がボロボロこぼれたり、鳥肌が立ったりします。これは「頭で理解している」のでしょうか? 体感でしょう。

たとえば、「裏切った同僚に対して怒りがおさまらない」というご相談。「実は損害なんてどうでもよくて、ただ悲しかった」ということに気づいたとします。すなわち、無意識が意識化されたわけです。そんなとき、涙がボロボロこぼれたりします。

おそらく、精神分析アプローチと呼ばれているものの多くは、分析して気づいた結果、感情の動きがあって、悩みが解決しているのではないかと思います。つまり、分析は実は手段なのでしょう。

Kojunが感情力動と呼んでいるのは、最初からその大切な感情を解放することを狙っていて、そのための手段は分析でもイメージでも対話でもなんでもいいのです。

そして、本人がどうしたいかも同時に扱うことになります。

うまくいかない理由

感情処理や感情解放の支援者はときに「感情を抑圧していることが心の病の原因で、クライアントの感情を出させることで悩みがとける」みたいに捉えがちです。

そうと言えばそうなんですが、でも違います。

それは、矛盾した不思議なものなんですね。

たとえばなんですが、母親について「あんなやつどうでもいい!」と言っている人が、「お母さんの愛がほしかったんだよお」と言うことで感情のプロセスが進み、母親に対する執着を手放すことができるという展開があります。

長期化する心の問題に苦しむ人は、

「あんなやつどうでもいい!」=手放し
「お母さんの愛がほしかったんだよお」=執着

だと思い込んでいるのですが、実は感情のプロセスは

「あんなやつどうでもいい!」=執着
「お母さんの愛がほしかったんだよお」=手放し

だったりします。

実際にその世界に行ってみると、実際にはそうなのです。

そして、本人にとっては、執着から手放しに向かうプロセスには強い抵抗があるわけです。

抵抗という概念自体がセラピスト都合で、クライアントを受動的にするものとして嫌われることもありますが、Kojunはクライアントは抵抗も愛せると思っています。

心理セラピスト自身が心のプロセスを経験していなと、執着と手放しのプロセスが逆に思えるという錯覚を見抜けない。そこで、わけもわからず「とにかく感情を出してください」みたいな指示になってしまうのです。

手順を暗記しただけの心理専門家では「どんな感情を出すとよいのか」をガイドできないのです。

出てきた感情をどう扱うのかわからないので、「とにかく出せ」みたいになる。

Kojunの場合はエンパスなのでクライアントの感情をいったん自分の中に取り込んで判断します。同情ではありません。鳥肌や涙が出るので、感情の色や形がわかるのです。

どちらかというと、感情ではなくて、感情に対する抵抗を感じとってています。

マニュアルに定められたとおりセラピストが台詞を言うという方法もあります。「そうだね、こわかったね」などと言うわけです。台本で言ったことばが心に届くかというのもありますし、そもそも言わせようとしている時点で無理があります。

心理セラピーの成功率を上げてはいけない

この手法は人を選ぶようです。

どうやら・・・

上手くいくためには、上手くいかせようとしてはいけない。

もし、ご自身で選べるところまでご案内できたら心理セラピー成功とするなら、成功率9割くらいだったとします。個人セッションに申し込んでくる人たちはプロセスを進めたい人たちですが、それでもプロセスを進まないと決める人もいるので、実際の成功率はそれより少し下がります。ですから7割くらいでしょうか。

この成功率を上げてはいけない。「諦めた人もいますよ。あなたがどうするかも、あなたの自由です」ということです。

また、上手くいかせようとしてはいけないけど、上手くいかせるための一押しが必要だったりします。

心理セラピストは成果は求めていないけど、背中は押します。丁寧に言うと、心理セラピストはクライアントの背中を押しません。ご自身に背中を押させているのです。

Kojunはセッションが上手くいくことを望んでいるのではなくて、クライアントが望んだとおりになることを望んでいるのです。このあたりが「治療者」と異なるところです。

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