「拡散」のための質問
写真を観ることを促す、「拡散」のための質問には次のようなものがあります。
・事実を観る質問
・想像を観る質問
・感情を観る質問
入門としては、事実と想像の質問をお勧めしています。
事実を観る質問
観察を促す質問と言ってもよいでしょう。たとえば、「写真の中に何が写っていますか?」「他には何が写っていますか?」というような質問です。
これには、一つ重要な機能があります。
私たちは普段、頭の中の引き出しを参照しながら、それを投影して世界を見ています。いわゆる固定観念や思い込みです。
写真をあるがままに観ることは、頭の中の引き出しの参照を止めさせる効果があります。それはU理論で「Seeing」と呼ばれる状態です。
ですので、「途方に暮れた少年」というように想像・解釈を加えた答えよりも、「青いシャツの少年」のように目で見えるままに答える方が、その効果が期待できます。
あるがままを観るようにしていると、見えていなかったものが見え始めます。まさに「拡散」です。
こんな風に言ってみるのも一興かもしれません。
「解釈を加えずに、目で見えるものだけを言ってみて」
想像を観る質問
たとえば、「ここは暑い?寒い?」「何か音が聞こえるでしょうか?」
想像を使うので、事実を観る質問のような「Seeing」効果はあまり期待できません。頭の中にある引き出しの知識や世界観の影響を受けてしまいます。つまり、投影が起こります。
固定観念から剥がす効果が弱い代わりに、無意識にアクセスさせる効果があります。
内なる宝の宝庫への扉が開きます。
想像を使うので、場合によっては事実の質問よりも少し答えにくくなるかもしれません。変なことや矛盾することが思い浮かんだとき、そのまま口に出すのを躊躇したり、長々と前置きをしたくなるなど。
「拡散」フェーズでは、思い浮かんだ通りに話せる状態が作られれば十分です。問題解決のための自己洞察を深める必要はありません。扉が開くだけで、無意識の中の探索などはしません。
こんな風に言ってみるのも一興かもしれません。
「変でもいいから、思い浮かんだままを言ってみて」
感情を観る質問
たとえば、「この写真は好き?嫌い?」「これを見てどんな気持ちですか?」など。
私は、入門としては、「拡散」フェーズでこれらの質問はお勧めしていません。
感情に触れる練習として、それもありかもしれませんが、そこまでしなくても「拡散」状態は作れます。
感情に触れるのは、どちらかと言うと「収束」フェーズの課題です。
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