助けを求める能力を援助希求能力と言ったりします。そこには、助けを求める相手を見つけること、頼み方などが含まれますが、なかには「助けて」と言うことに強い抵抗があるという人もいます。
「助けてと言えない」病みたいな感じですね。
実はこの心理課題を持っていると、人生の中盤あたりから、大きな仕事ができなくなってきます。
人生の後半は人に助けを求め、競争から協創へ移行する必要性が増してきます。
先に「ありがとう」の意味を調整しておく
「助けてと言えない」人は、「ありがとうと言えない」を併発している場合があります。
もし併発している場合は、そちらを先に緩和しておきましょう。
有難くないときにまで「ありがとう」と言う必要はありません。有難いときに言えばよいです。
言えないということは、なんらかの恐怖があるはずです。
たとえば、「お礼を言うと借りができる」という感覚の人もいます。そのような場合には、お礼を言うことで借りができるのではなくて、お礼を言うことで借りが返されるのだと知る必要があります。まあ、相手によりますが。
「感謝しろよ」と言われながら育った人などは、「感謝することは支配されること」となっている場合もあります。そのような場合には、深層心理セラピーがよいかもしれません。
結果を予想してから練習する
「助けてください」と言ってみる練習では、次のような結果を予測しておきます。
- (A)案外、喜んで助けてもらえた
- (B)助けてもらえなかったけど、ダメ元で無害だった
- (C)何らかの理由により傷ついた(恥をかいた、上から目線を受けた等)けど、だからと言って死にゃしない
(A)になると信じてやるのではありません。
(B)(C)についても、心の準備をしておきます。武道でいうところの受け身ですね。
そして、克服には(B)(C)の体験も必要です。それらでも大丈夫というのも練習によって得たい体験です。
受け身は具体的には、断られたときに自分が返す言葉や反応のスタイルを見つけることになります。「はい、わかりました。ありがとうございます」などの断られたときの言葉を用意しておくとよいです。
(B)は一種の暴露体験となります。つまり、慣れるほどになんでもなくなってくるものです。前もって可能性の一つとして予測しておくだけで、衝撃も減らせるでしょう。
「断られる経験を積めた」ということを喜びましょう。
(C)は広義トラウマのような手強い深層心理の解決が必要になるかもしれません。傷つくことへの過剰な怖れは、様々な根本原因があり、心理セラピーでも扱います。
しかし、それを克服すると、今まで悩んだぶん、人生が楽しくなるかもしれません。
助けを求める練習相手の選ぶ
これはもちろん、最初は助けてくれそうな相手を選ぶのがよいでしょう。それから、五分五分の可能性に挑戦してみます。
ちなみに、あなたが「助けて」と言うのが苦手だと気づいていて、それを直してやろうと思っている人は、練習相手に向いていません。「ほら、助けてと私に言いなさいよ」と構えている人が相手だと、自然な経験が得られにくいのです。
練習相手を選ぶというのは、相手によって結果が変わるということを学ぶことでもあります。助けてもらえなかったとしても、助けを求めたことが間違いなのではなくて、相手を間違えたという捉え方も可能です。事前に相手を選ぶことを意識的にしておくことで、そのあたりが柔軟になります。
傷つきは恐怖にも癒しにもなる
上手くいかずに傷ついたときに、自分に寛容にそれを味わうことで、癒しが起こります。上手くいけば、少しずつ傷つくことが怖くなくなります。
自分を責めると、トラウマを強化してしまいます。
このあたりは、心理セラピーではインナーチャイルドのワークなどで改善してゆきます。