ひきこもりが長期化する原因のひとつに、家族によって隠されるということがあるそうです。社会が受け入れるかということに関してなら、思うことがあります。
普通を目指すのか?
あるていど交流のある人なら、仲のいい人たちの中にひきこもりの家族が全くいないなんてことの方がめずらしいでしょう。もはやそれは、排除すべき得体のしれないものではなくなってきています。
社会のなかに、元ひきこもりという人も増えている。おめにかかる機会も増えていています。けっこう信頼できる人だったりします。先日も安酒場で、見知らぬ御一行とでくわした。誕生日パーティーの主賓らしき人がひきこもり時代の思い出話をしていた。あと数年もすれば、ひきこもり卒業生たちが社会にあふれて、会ったことがない人の方が珍しくなる予感がします。
とはいえ、ずっとひきこもっているのがよいかというと、そうでもないと思います。どこかで卒業した方がよいと思います。どうすれば卒業できるかはともかくとして、卒業とはなんでしょうか。それはおそらく、フツーに戻ることではないように思います。そして、そのそれぞれの卒業の在り方はは社会になにかをもたらすと思います。
ちなみに、普通か悪いわけではありません。大逆転にこだわるのも長期化する原因になり得ます。
「やり直す」なのか?
とあるひきこもり支援に関心のある方々の集まりで、講演者が「ひきこもりの人たちにとってのテーマは何でしょうか」と会場に問いかけました。「自己肯定感を高める」というような回答もありましたが、なんだか根っこでも目的でもないように思います。家族会の方の回答はするどかった。たとえば、「自分の納得する生き方をみつける」など、なるほどです。
もっとも賛同しにくい回答としては、「人生をやり直すこと」なんてのもありました。やっぱり、脱落者みたいに思ってるんやね。古いゲームをやり直してどうする。新しいゲームを早くはじめましょうよ。
当事者会からは、いろいろと教えていただいています。
新しいゲームには、いろんなプレーヤーが必要なように思います。敵すらも必要なゲームもありますしね。
参考
- ・「思春期・青年期の心理臨床(’19)第08回 思春期・青年期と不登校・ひきこもり」大山泰宏(放送大学OCW)
- 『親から始まるひきこもり回復』枡田智彦
- 『不登校・ひきこもり・発達障害・LGBTQ+ 生きづらさの生き方ガイド』大橋史信・岡本二美代