心理セラピーの、説明するか、説明しないか

心理セラピー(心理療法)をやっていると、「あのとき、相談者(クライアント)に起きていることを説明しておけばよかった」と後悔・反省することがあります。

でも、そのタイミングは、余計なことを言わない方がいいように思ったりして、言えないこともあるんですね。体験に集中してもらうためというのもあります。

たとえば、何かがうまくいかなかったとき、うまくいかない理由がわかってても言わないことがある。心理セラピストの言い訳みたいなことになってしまいそうだったり、このタイミングで信用してもらえるだろうかなと思ったり、いろいろあります。でも、後になって、やっぱりアレは言っておけばよかったんじゃないかと思うことも。言わなくてよかったと思うこともあります。

たとえば、稀にですがカウンセリング中に来談者にパニックやフリーズが起きることがあります。とくに問題の場面を思い出す誘導とかではなく、普通に話しているときなど。直接的な引き金がない場合は、警戒している場よりも安心な場で起きるもので、それは信頼関係ができたからこそ起きるものであり、トラウマ解消の機会に使われることもあります。とくに福祉などの心理療法家ではない対人支援者さんからも「相談者がちょっとしたことでパニックになった」という相談はあり、「それは信頼されているから起きるんですよ」と説明しています。支援者が心理療法家でない場合は、それが起きない方がよいけど、信頼されている支援者ほど起きやすいことでもあるわけです。そんなとき、パニックを起こした来談者さんに何が起きているか説明するタイミングというのはとても難しいのです。心理セラピストの都合だけ考えれば、説明すればいいのですが、そのときは説明よりもっと大事なことがあったりします。おちついてから次回の面談のときに説明すればいいのですが、来談者はデリケートなので次回があるとは限りません。

私もかつて心理セラピーの師匠や精神科医から説明不足な対応をされたことがあります。自分がプロになってから、あれはあえて言わなかったんだろうなあと思うこともあります。

たとえば、「自分で苦しくなることを選んだから苦しいのですよ」なんて、そんなひどいこと言えないですよね。でも、その「選んだ」が分かり易く展開されたそのタイミングで言えば、その真意がわかります。後になって体験を忘れかけたころに言ってもわかりません。それは一生に一度の機会だったかもしれないのです。だったら、それは心理セラピストが嫌な奴になってでも言えばよかったのかなと思ったります。

その瞬間、何が一番いいのか、悔いのない判断をできるのは経験なのかもしれません。でも、ベテランの先生方も完璧に上手とは思いません。ただ尊敬するのは、何が起きても柔軟な支援者です。

でも、この胸に刺さっている細々な後悔が心理セラピストの財産なのかもしれません。

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