「差別しないよ」の心理

LGBTQのカミングアウトに対して、「私、なんとも思わない」を強調する人は、たいてい友達になれない(そのあと去ってゆく、そのあと逆ギレする)。LGBTQ当事者からそんな警戒の声が聞こえます。

「私はLGBTQを差別しません」と言うとLGBTQに嫌がられる? はい、そうです。

カミングアウトされた人の心理

東京在住の方であれば、地方出身の方と出会ったときに、「私は地方出身者を見下したりしませんよ」と言うでしょうか?

水商売の人に出会ったときに、「あなたが水商売かどうかなんて、ぜんぜん気にしない」と言うでしょうか?

ピアスの人に出会ったときに、「わたし、ピアスしている人とも、まったく普通に付き合えるのよね」と言うでしょうか?

自営業の人に会ったときに、「会社員も自営業も友達として区別する必要ないと思うわ」と言うでしょうか?

背が低い人に出会ったときに、「私は背の高さで人を差別したりしないからね」と言うでしょうか?

赤いワンピースの人に会ったとき、「赤のワンピースが派手すぎるなんて思わない」と言うでしょうか?

人間は、なんとも思っていないことについて、わざわざ「なんとも思っていない」とは言いません。

「実は僕はゲイなんだ」
「あ、わたしそういうの全然気にしないよ。差別意識ないから」

本当に全然気にしない人が、わざわざ「気にしない」「差別意識ない」とは言わないのです。

本当に全然気にしない人の場合は、「えー、気づかなかったわ」とは言うくらいです。

問われもしないのに、「差別しないよ」と言いたくなるのはなぜか?

自分の差別意識(もしくは、自分にあるかもしれない差別意識)を隠したいという心理があります。

それを認めたくない/知られたくないという怖れが「全然気にしない」と言わせます。

そして、その怖れがあるゆえに、カミングアウトした当事者を避けるようになります。また、自分の心の死角(「自分には差別意識がある(かもしれない)」、それを認めたくない/知られたくないという怖れ)が暴かれそうになったとき、攻撃的になったりします。

「私は自分の意見を言っただけよ!あんたのセクシャリティはあんたの勝手だけど、それを気持ちわるいと思うのは私の勝手でしょ!」と声を荒げたりします。突然、逆切れするわけです。私もこの現象を何度か見ました。

当事者はこれをちょくちょく経験するようで、「カミングアウトしたときに、やたら差別しないとアピールする人には、気をつけるようにしている」となります。

非当事者(カミングアウトされた方)は、正直に驚いて、相手が何のためにカミングアウトしたのか、話の続きを聞くことをお勧めします。

※当サイトの記事には実践経験に基づく意見や独自の経験的枠組みが含まれます。また、全てのケースに当てはまるものではありません。ご自身の判断と責任においてご活用ください。

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