「アダルトチルドレン」「トラウマ」などの言葉

心理の専門家が説明なく「あなたはアダルトチルドレン(AC)です」とか「あなたはトラウマです」とか「あなたは愛着障害です」と言うことは多くはありません。解決方法を提案するために言うことはあるかと思います。専門家にラベルを貼られることで、そのラベルに支配される(新たな症状が発生したり、症状から抜け出しにくくなる)ことを嫌うためです。


しかし、これらの用語は、本人が情報・相談先を探すには便利な言葉でもあります。また、自分を責めることをやめるきっかけとなったりもします。

そのようなラベルとなる言葉は、そもそも何なのでしょうか。

それは、

人生の可能性を守るための、問題の捉え方

ではないかと思うのです。

「アダルトチルドレン(AC)」は、もともとアルコール中毒者の子供のためのケアグループ(低学年児のジュニアチルドレン、年長児のセニアチルドレン)から派生した大人のためのケアグループです。そのような趣旨に賛同して回復を求める人達のことです。病名、診断名ではありませんので、本人がACだと言えばACだし、そうではないと言えばそうではないです。自分がACであると認めるのは、機能不全家族というような概念に基づいて、支援者や仲間とともに回復の道を歩む、生き方を考えるという態度と言えるでしょう。

「トラウマ」(ここでは、ショックトラウマ、広義PTSD)は、人間の高度に発達した神経系がある形で作動したときに陥る状態などを指し、それをなんらかの方法によって解消しようとするとき、または配慮的に理解しようとするときに使われる言葉です。

※今日では精神医学の診断マニュアルが用語の定義になってきていますが、ここでは広義に言葉を捉えています。


それらの言葉は、対処•解消法を探す想いをともなって生まれたはずです。

「私は、ACで、トラウマで、適応障害です」という人がいたとしたら、3つの病気を持っているという意味ではなく、3つの観点から解決策・対処法を探しているという意味になります。

先日、トラウマ専門のセラピストに会いましたが、その方はショック・トラウマから、もっと地味なものまで多くの心の問題を「トラウマ」という概念で説明します。幅広く「トラウマ」を捉えていて、客観的に解決法も語ることができるので、その言葉には害がありません。トラウマの専門性が高いゆえに、「AC」とか「適応障害」という言葉は必要なくなります。しかし、AC、適応障害が扱えないわけではありません。むしろ一貫性のある説明が期待できます。

いずれにしても、セラピストが問題をどのように捉えるのかは、セラピスト探しの1つの観点になるかと思います。それは、手法の違いより大きいかもしれません。

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