2種類の「あきらめました」が人生を左右する

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今回は、あきらめたときの注意点とでもいうようなお話を。

人が「あきらめました」と言うとき、心理状態としては全く異なる2種類があります。

  • (A)「欲しいけど得られない」ということを受け入れた
  • (B)本当は欲しいけど、「欲しくない」ことにした

これらの区別は本人にとって難しいものです。

「あきらめる」ということの本来の意味は(A)です。そこには悲しみがあります。そして、悲しみは人間にとって必要な感情です。

(B)は、欲しくないことにしているのですから、本来は「欲しくありません」というセリフになるはずなのですが、ふと真実へと心が動いたとき、「欲しいけど」という部分を若干受け入れて、でも「欲しくない」と言いたくて、「欲しかった」と過去形に追いやるときに出てくる「あきらめました」です。心理学っぽくいうと、「欲しい」を「欲しくない」で抑圧しているということになりましょうか。

さて、何かを手放すにしても、(A)か(B)かで、その後の人生への影響が出る場合があるのです。心の自由を得るために、自分の心のちょっと嫌な部分に触れる必要があったりします。ちょっと我慢してね。

すっぱい葡萄

(B)の古典的な例は、イソップ物語の「すっぱい葡萄」です。

木の高いところにある葡萄を採れないとあきらめたキツネが、立ち去りぎわに「あの葡萄はすっぱいにちがいない(だから、欲しくない)」とつぶやくというお話です。

これ、実は笑い話のようでいて、深いのです。

私たちは自身の(B)にそっと気づかせるために、キツネ君を身代わりにしているのかもしれません。

悩みの本質にせまるときの例

私たちが解決したい悩みに目を向けようとしたとき経験する(B)の例は、このような言葉とともに現れることがあります。

 「私は人と仲良くならなくていい」

 「私は幸せになりたいなんて思っていない」

そして、

 「私は愛なんかいらない」

もちろんこれらはこれらでもよいのです。いちいち心理セラピストが「それウソでしょ」と言ったりはしません。キリがないので。

しかし、解決したい悩みの本質をご自身が探求したときには、「本当はほしい」という深層心理が出てくることがあります。そのとき、(B)の「あきらめました」という言葉が出るのです。

欲しがるとつらいから、欲しくないことにしている。それを受け容れて、そこにある悲しみが癒されるということが起こります。

悲しみが癒されると何がおきるか

「本当は欲しい」ということ受け容れるということは悲しみ(場合によっては恐さかも)を感じてしまいます。しかし、それを通り抜けたとき、(A)の「あきらめ」を体験します。これはやった人にしかわかりません。

心理セラピーの1時間の間にも、そのプロセスが含まれることが多々あります。心理セラピーの前に言っていた「あきらめました」と、心理セラピーが上手くいったときの「あきらめました」は、まったく意味が違うと当人は言います。

(A)になると、あらたな可能性が開きます。愛をあきらめても、新しい愛が来たら受け取れます。(B)だと、欲しくないことにしているので受け取れません。

先のキツネ君は、梯子(はしご)を手に入れても、それを使うことができません。葡萄はすっぱいことになっていますから。

(A)になると、未来に対して自由になります。これが、その後の人生を左右するといった意味です。

「悲しみ」が大切なプロセスになることがあります。

あきらめたことについて、ちゃんと悲しみましたか?

 
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心理療法セラピスト 上野貢潤

心理療法セラピスト 上野貢潤

代表ファーストブレス
~自分の心と対話する~ 心理療法セラピスト/Points of You マスタートレーナー
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