心理セラピーで気分が悪くなることはあるか

深層心理を扱うセラピーは気分が悪くなるというようなイメージもあるかもしれません。

たしかに、嫌ななにかを扱うわけですし、そこに触れがたきものが隠れているわけですから、抵抗はあります。ある程度のモチベーションがないと気持ち悪いかもしれません。モチベーションがないと全く向き合えないので。

ただ、実際にセラピーの当日はたいていは満足感があります。

嫌だけど嫌じゃない。マッサージの「ちょっと痛くて気持ちい。うぃ~っ」とみたいなものでしょうか。

また、モチベーションはあっても、必要な葛藤を感じるところでセラピーが終わることもあります。その場合は気持ち悪さが残ります。でも、たいていは、必要な気持ち悪さだということが自覚できます。

クライアントの話によると、不必要に気分が悪くなったセラピー体験というのはあるようです。私も稀に経験しています。はたして、それは、どのような場合でしょうか。

ざっくり言ってしまうと、深層心理を扱うセラピーは「開く」と「受け止めてもらう」のをします。

「開く」というのは、過去の出来事を思い出すことや、気を緩めることで、普段は抑圧して隠している情動などを出してゆくということです。

「受け止めてもらう」というのは、たとえば「恐い」という感情であれば守ってもらったり、弱みをみせても安全だったり、悲しみを理解してもらったりというようなことです。

セラピストを主語にすると「開いてもらう」「受け止める」ですね。

気分が悪くなったというお話を聞くと、開くだけで、受け止められないケースがあります。「開けるだけのセラピー」とでもいいますか。

クライアントがそれまで鍵を掛けて封じ込めていたものを出させるわけです。ただ開けるだけというのは、しんどくなりますね。場合によっては、開けたところに、説教などされて気分悪くなるなんてこともあるようです。

それには二通りあるように思います。1つは、心理療法の技法を取り入れた自己啓発セミナーの類とでもいいましょうか、目的が癒しではないケースですね。

それはありのままのその人を受け入れるのが目的ではなくて、成果を出すために人を変えようとする意図で行われるので、「開ける」+「なにかを入れる」になっているのです。下手な洗脳みたいな感じで、侵襲性があります。「さあ、正直に自己開示するんだ。さらけ出せ。殻をやぶれ」みたいなやつですね。一時期は企業研修なんかでもそういうことがされていて、自殺未遂とかまであったそうです。

もう1つは、心理職による心理セラピーではあるのだけど、「受け止める」が十分にできないセラピストの場合。

「開いてもらう」とういのが技術や手順として習得できます。「なにがあったか話してください」とか「・・・・を思い浮かべてください」とか「この絵を見ると何を思い出しますか」とか「体に意識を集中して・・・」とか誘導法を手順として覚えることができます。つまり、よほど信頼されにくいキャラでないかぎり、クライアントがやろうと思えば、開くことはできます。

ですが「受け止める」の側面は技術ではなく、セラピストの生き様が現れます。クライアント側からよく聞くのは「ワークの途中で見捨てられたのがわかった」とか「ぜんぜん分かってもらえなかった」とかです。要するにセラピストのキャパを超えちゃってるわけです。たとえば、暴力被害の場面を扱ったときに「もう大丈夫だよ」「あなたは悪くない」とか言ったところで、そのセラピストは実際の暴力場面に介入できるような人間なのかってことです。「そうだね、辛かったね」とか言ったところで、そのセラピストはそのような辛さを体験したことがあるのかってことですね。ですから、暴力の世界の実体験がなく心理学の勉強してもだめです。

※ちなみに私はイメージワークではない実際の世界で怒鳴りつけて痴漢を土下座させたことがあります。恐怖体験についても多少の経験があるので、「恐くても大丈夫」という言い方ができます。(不用意にこのセリフだけ真似してもダメです。どうして大丈夫なのか訊かれますから)

そのような場合に、しんどかったとなるようです。

多くの場合は、心理セラピーが大成功しなかったとしても、やってよかったと思えるくらいの心地よさはあります。

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