「安心基地」と「好ましくない依存」の見分け方

ACや愛着不安定の癒やしに必要な「安心基地」と、悪循環となる「好ましくない依存」とは、どのように見分けられるでしょうか?

良い依存と、悪い依存とも言いかえることができるかもしれません。

ご相談されたときに答えていることを書きます。

「人に依存すること」について相談されること

たとえば、愛着不安定の方などが、癒してくれるホステスやホストさん、風俗キャストさんに会いに通うのは、心理的によいかわるいか?

わりとよくある相談です。夜の世界も知る私ですから、こういうこと尋ねやすいのかもしれません。

支援業としては「やめたほうがよい」と言っておけば無難ですが、そう言うだけでは解決へは向かいません。

通う先がアイドルならいいのか? カウンセリングならいいのか? パートナーに甘えるのは?

当事者のギリギリの生き方において、「ホステスは駄目でカウンセラーなら良い」みたいな雑な説教では役に立ちません。

それらは自分で判断できるようになるのがよいでしょう。

良い依存と悪い依存

悪い依存といえば、共依存や依存症などのように呼ばれるものがありす。

良い依存といえば、「内なる安心基地」を育ててくれる「外なる安心基地」、人に頼る勇気(弱い自分への怖れの克服)みたいなものがあるでしょう。

※「安心基地」は「安全基地」とも呼ばれますが、危険の有る無しというよりは心の状態を作り出すという意味で「安心」と書くことにします。

深刻な(時間のがかる)心理的問題を克服してゆくうえで、とくに重要となるのが「外なる安心基地」です。

根拠のない「なんとかなるさ」的なもの、「基本的安心感」などと呼ばれるものは、愛着安定の特徴で、幼児期に親などからもらう安心感です。それを与えてくれた親などと遠く離れても、死別しても、それが残り続けたものを「内なる安心基地」と呼んでいます。それが不足しているのが愛着不安定(愛着障害など)で、心理セラピーでは「内なる安心基地」を溜めるワークをしたりします。

一方で「外なる安心基地」とは、今を生きるうえで、情緒的な支えとなり、「内なる安心基地」を補強してゆく人間関係のことです。大人の愛着関係とでもいいましょうか。心理カウンセリングの中で「いい友達や仲間をみつける練習をしましょう」と言うことがあるのはそれです。

「外なる安心基地」が「内なる安心基地」をつくってくれるとも言えます。1 それを直接的にがっつり始動させるのが、有料の心理セラピー。それを(多くの場合)無償で関わって加速してくれるのが人間関係修復です。

心理セラピストも時間をかけて関わる場合、「外なる安心基地」と言えるでしょう。

私の提案する見分け方

さて、「ある人に会いに行くと楽になる」というのは、外なる安心基地か? 接客サービスや風俗はNGで、カウンセリングはOK? うーん、概ねそうかもしれませんが、なんか雑な感じがします。金銭的なリスク、依存性のリスクからはそうですね。「一般的にはそうかもしれません。

でも、あのホステスさんはホントに私を癒してくれます。今の私には必要なのではないかと思います」なんて言う人には、その感覚以上に説得力ある判断ヒントを提供したいところですね。

私の答えはこうです。その人物に通う頻度が増えていくなら(悪い意味での)依存、だんだん通わなくてよくなるなら外なる安心基地でしょう。

「外なる安心基地」は「冒険」とセットです。安心基地があるおかげで冒険ができるのです。子供は逃げ帰る親や家があるから、外へチャレンジできます。

安心基地の後ろ盾ありの冒険を体験すると、安心基地に逃げ帰らなくても回復できることが起こりはじめます。外なる安心基地はあるけど、使わない。やがて、外なる安心基地がなくても冒険できるようになつまてきます。これが外なる安心基地が内なる安心基地をつくるという現象です。

その効果、機能をはたさないなら、それは回復プロセスの「外なる安心基地」ではありません。冒険のないところに安心基地はないのです。

ただあまり機械的に判断しないでください。真意を見つめることが前提です。

参考 – 他の「依存」概念

ボウルビィの「依存性」

ちなみに、ボウルビィは依存を機能的な意味を含むものとして、愛着と区別しています。

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それによれば、健全であっても会社員は会社に依存しているということになるでしょう。依存先が複数あったり、依存先が安定していれば、当面は問題にならないということもあるでしょう。

依存というのは、それがないと困るということですね。愛着の欠如はは冒険(探索)できなくなるということと関係していますので。愛着不安定がゆえに物事にチャレンジできなくて、その結果誰かに依存しないと生きてゆけなくなるという因果はあるかもしれません。この場合の愛着不安定の解消目標は、困らない程度にチャレンジできるように愛着を安定させるということになるでしょう。

依存症の「依存性」

また、依存症では「報酬」への反応として捉えることが多いようです。報酬に対して過敏であったり、目先の報酬のために長期的な報酬が犠牲になる心理メカニズムなどによって説明されます。

また、同じ報酬を感じるためにより多くを求めるようになる「耐性」という概念も関係しています。上述の「悪い依存」で接触頻度が増加するというのもこれに当てはまりそうです。

ちなみに、愛着不安定が依存症の原因となることはあるように言われています。

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