自己啓発を教える人は、
「こうすれば、上手くいく。しかし、大抵の人はやらないんだよね。だから大抵の人は成功しないんだ」
と言います。
「98%の人は成功しない。なぜなら私の言うことを聞かないからだ」と思っているわけです。
たとえば「直感に従って行動する」とか「いつも感謝する」とかですね。
心理セラピストは、この98%の人がなぜ、それを出来ないのか、しないのかを扱います。それには理由があるのです。
この98%(もしくはセミナー参加者の10%かもしれません)の人たちを「だからダメなんだよ」と捉えるか、「なにか理由がある」と捉えるかが、自己啓発とセラピーの違いと言えるでしょう。
心理セラピーでは、(もし相談あれば)そのストッパーを解くなり、そのストッパーの必要性を受け入れるなりするわけです。
「直感に従って行動する」をしない人は、それをすると危険だからしないのです。たとえば、1つでも間違ったら殴られる環境にいた人にとってそれは重要な生存戦略です。
「それはもう必要ないから手放す」というのは、それを命がけで身に着けたのと同じくらい、命がけのことなのです。そんな人に対して「だから君は成功できないんだ」なんて言うコメントはあまり役立たないのです。
場合によっては、まだそのストッパーは必要なのかもしれません。例えば他の問題(「お金を使い始めると止まらない」「変な人に自己犠牲の献身してしまう」など)を解決するまでは、そのストッパーを外すのは危険なのかもしれません。
たとえば「人から好かれないと生きる資格がない」という刷り込みのある人は、安易な心理セラピーや心理療法を安易に取り入れた自己啓発ワークで「人目を気にする」というストッパーを外すと、自殺念慮が発生したりします。これは理屈ではなくて、実際に起こります。その人は未だ「人目を気にする」を生きるために必要としているのです。
心理セラピーはそこまで考慮して進めます。
「これをすれば上手いく(成功者はそうしている)。だから、あなたもそうしなさい」というのに対して、多くの人たちが言うことを聞かないのは正常なのです。
そして、頑張って言うことを聞いたら危険を招く場合もあり、言うことを聞かなければダメな人(「だから君は成功できないんだ」)扱いをされる。
成功者と同じようにせよという自己啓発的な教えによるこの現象によって、自尊心を失っている多くの人たちが自己肯定を取り戻すための別の道を案内するのも私の仕事です。ご本人が望むならですが。