これはよく訊かれますので、一度書いておこうかと思います。カウンセラーと心理セラピストの違いを尋ねられるのも同じですね。
明確な定義はないかもしれません。同じだと言う人もいます。
言葉を和訳すると、counseling=助言、therapy=治療なんですが…
カウンセリングでは「余計な助言するな」が主流ですし、心理セラピーでも「治療」っぽくないものを多く含みます。
ですので、定義について考えるよりも、実態としてどうなのかを語ってみます。
面談か施術か
カウンセリングは面談形式でお話をするイメージです。傾聴アプローチ(話を聴いてもらうことで、心が解けてゆくなど)や、考えを一緒に整理したり、具体的な助言がある場合(ある意味でコンサルティング)もあります。
心理セラピーは積極的な施術やガイドをするイメージです。身体を動かすとか、イメージワークするとか、瞑想誘導とかです。
※Kojunの心理セラピーはイメージワークが中心ですが、施術というよりは、共同作業的なガイドや指南に近いかもしれません。
会話を使った施術というのもありますので、それとカウンセリングは見分けがつきにくいです。
心理カウンセリングも一種の心理セラピーだといえるでしょう。
意思のありどころ
心理セラピーのほうが積極的に働きかけるので、より明確な本人の意思確認がないと始まらないでしょう。
ですので、非行少年が本人の意思がなくても指示されてカウンセリングを受けるというのは想像できますが、本人の意思がなく心理セラピーを受けるというのはちょっと想像しにくいです。ですが、行政機関などではカウンセリングのほうが任意で、心理セラピー(心理療法)が子供向けの心理治療として行われている実態も小耳にはさみ、不気味です。
ある人は「セラピーと洗脳の違いは、善意でやるか悪意でやるかの違いだ」と言いましたが、私は違うと思います。セラピーと洗脳は技法も違うのですが、心に変化をもたらすという点で似ているとすると、その違いは「本人の意思によるか、施術者の意思によるか」だと思います。洗脳と呼ぶのは大げさだとしても、「施術者がよかれ(善意)と思って、本人が望まないのにやる」のは私はセラピーだと思いません。
カウンセリングというのは変化のためのなにかを実施するというよりも、相談といった感じですね。しかし、カウンセリングで変化が起きることはあります。
心理セラピーは変化や体験を目的に実施します。その目的意識が本人とセラピストで合意されているのが前提かと思います。
病院で風邪と診断されても、「風邪を治したいですか?」と意思確認はされないかと思いますが、心理セラピーの場合は「愛着不安定/トラウマを改善したいですか?」は確認します。
カウンセリングよりもより明確に意思を確認するので、深く突っ込んだこともできるようになります。
ですので、変化のためになにかする決意がなく、話をしてみたいだけという場合はカウンセリングを選ぶとよいでしょう。
また、心理セラピーは特定のメソッドを選択して行うことが多いと思います。ですので「〇〇法をしますか?」「はい、お願いします」というやり取りがあるでしょう。
カウンセリングにも手法がありますが、手法について説明されないこともあるかもしれません。
心理カウンセラーと心理セラピスト
心理カウンセラーを名乗る人の方が圧倒的に数が多いように思います。私の印象では、傾聴が上手い人と、心理学の知識を使って助言する人がいるように思います。会話を使ったセラピーをする人もいますが希かと。
心理セラピストを名乗る人は、変化のためのプロセスやメソッドをもっている人が多いようです。ですので、「〇〇法のセラピスト」であることが多いかと思います。
心理セラピストは、一種独特の変わった感じ(社会の常識にとらわれない感じ)の人が多いような気もします。シャーマンや呪術師や巫女のように、社会の常識の外への案内人みたいな感じもします。あやしいですね。
より自分自身という人間を使うイメージでしょうか。
これらは定義ではなくて印象ですので、時代とともに変化してゆくと思います。
※なお、臨床心理士/心理師は資格名称です。とくに国家資格は制度に組み込まれるので、医療や福祉に近いイメージがあります。心理学の知識を先に学んでから実践に入るという傾向があるように思います。心理カウンセラーや心理セラピストは逆に実践体験から入る人もいます。