高い目標を持つことで一歩も進めなくなっているケース

高い目標を持って何も達成できなくなる人がいます。

楽器を習うときに、「あの名曲を弾きたいんです」と言います。ドレミファソラシドの練習はしたくない、最初から名曲を弾きたいと言います。で、いつまでたっても練習が始まりません。

名曲を演奏して「すげー」と言われたいそうです。ドレミファソラシドは弾いても意味がないと言って、やりたがりません。

もちろん、何年経っても名曲を弾けるようにはなりません。

ある方は自己肯定感が傷ついていて、「かっこよさ」に執着があります。自己肯定感が傷ついていると、「ありのままの自分には価値がない、すごいことができれば価値がある」となります。なので、練習というカッコ悪いこと(できない自分と付き合うこと)ができません。

別の例も挙げましょう。英語初級レベルなのに、「今年こそは英語をペラペラになるぞ」と言います。毎年そう言っていますが、英語学習を始めません。

ある方の場合も同様に自己肯定感の傷つきで、「ペラペラじゃなく英語を話す自分」が許せないのかもしれません。

このような方に「パソコンやスマホの表示設定を英語モードに換えてみるといいですよ」というような小さな一歩を助言すると黙り込んで聴こえないふりをすることがあります。

やろうと思えばすぐにでもできることに、強烈な拒否反応をしめします。

そのような深層心理課題を持っていない場合はスモールステップにするとやれるようになるのですが、深層心理に傷つきがある場合はスモールステップにするほど拒否反応が強くなります。

そのようになっている人は「高い目標を持ちましょう」というストレッチなアドバイスが好きです。でも、実現はしません。

目標自体になんらかの抵抗があり、その達成を阻むために深層心理(無意識)が小さな一歩をしないようにしている場合もあります。その場合、無意識は小さな一歩が物事を実現してしまうことをよくわかっているわけです。なので、小さな一歩が大事であることを説明されることにも拒否反応があります。このような方は心理セラピーや心理カウンセリングに相談にこないことが多いです。相談すると解決してしまう可能性があるからです。

これらの方々は低い目標が大嫌いです。

「千里の道も一歩から」が実行できないのです。私はスモールステップ恐怖症と呼んでいます。

もし、あなたが「小さなことならできる」「一歩ずつしかできない」というのであれば、それは幸運です。ADHDなどで一度に1つのことを短時間しかできないとか、体力がないとか、そういうのは結構成果に辿りつきやすいと思います。

もし、あなたが小さな一歩に拒絶反応があるのなら、必要なのは大きな目標ではありません。必要なのはスモールステップ恐怖症の克服です。自己肯定感の傷、完璧主義(不完全への恐怖)、成功や幸せになってはいけない深層心理などを解消するか、理解して己を知るかしなければ、何年も時間がとまります。

解消方法は、スモールステップの練習をする(ある意味で曝露法)か、深層心理に隠れている根本原因の仮説を見つけて深い心理セラピーで解消するか、といったことが考えられます。前者は正すアプローチに近く、後者は赦すアプローチに近いです。赦すと言っているのは、たとえば楽器や英語が下手な自分をゆるせるようになるためにありのままの自分をゆるす深層心理セラピーという意味です。前者の方が思考より、後者が感情よりのアプローチとも言えます。私が提供しているのは後者です。

ちなみに、会社組織などにもスモールステップ恐怖症があります。ありえないような営業目標を立てて玉砕することを繰り返すような場合です。ストレッチした目標と言いますが、その期間で実現不可能な目標を立てたがるのです。

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