クライアントに心理セラピーの手法を合わせる

心理カウンセリング/心理セラピーの世界において、「手法にクライアントを合わせるのではなく、クライアントに手法を合わせるのだ」ということが言われます。

これは、手法にクライアントに合わせようとしてしまうことはよくあるという戒めrえでしょう。

セラピストやカウンセラーも全てを理解しているわけではないので、手法通りにやってみるしかないという場合もあるかと思います。また、淡々と手順通りに機械的にやるからよいという場合もあります。

でも、Kojunは大抵クライアントに手法を合わせています。当事者中心の世界観なので、そうなっちゃうんですよね。

クライアントによって手法を選ぶという手法選択の観点もあり、これは今日では当たり前のことになりつつあります。

クライアントによって手法を柔軟にアレンジするという観点もあります。こちらは臨機応変な心理セラピーということになるかと思います。

ここでは、手法を柔軟にアレンジすると、手法選択になってしまうことがあるという話をしてみます。

例:「公務員になれ」と言われて育ったクライアント

※事例は仮想事例です。

「なりたくないのに公務員になってしまった。アパレルに転職したいのだけど、どうしてもできない。父親から必ず公務員になるように言われて育った」というケースです。

幼少期の影響がありそうですので、TAゲシュタルト療法を頼りに子供の頃のイメージを想起してもらって、感情処理を試みます。

そうして、父親に逆らうと父親が不機嫌になるということへの悲しみが出て来て、カタルシスが起きたとします。その感情を感じて完了すると、セラピストは「もう僕は自分の職業は自分で決めます」という台詞を提案して、心の底から言えるようになったか確認します。これは再決断療法がまくいったということになります。

また、父親に逆らうと父親が不機嫌になるということがどのように自分に影響してきたのかを言葉にして語ることで、外在化(自分の外に出して客観的にするということ)ができたことで、その問題を扱えるようになり、これは父親を超えるための冒険物語なのだと思うとワクワクするかもしれません。セラピストはそのストーリーに興味深く耳を傾けます。それはナラティヴ・セラピーになります。

また、当時の父親との関係が混乱して恐ろしいものとして記憶されていた場合、語りながら記憶の再整理が起きるかもしれません。恐ろしかった体験を安全な環境で語ることで、今は恐ろしい状態ではないということが実感されてきます。思い出して語ることを繰り返すうちに、当時の恐ろしさと、今の転職に関する不安が区別されるようになります。これは想像エクスポージャー法と言えるでしょう。

TAゲシュタルトで幼少期を扱ってみましょうと言っても、どのようなセラピー・プロセスとなるかは変わってしまいます。それは、再決断療法、ナラティヴ・セラピー、想像エクスポージャーというような、思想や流派を超えて異なる手法になってしまったりします。

いわゆる統合アプローチ・・・とも違いますね。

クライアント中心でやっていると、実際にそんなことは起きてしまいます。場合によっては、心理セラピストが知らない克服プロセスが起きて、後で調べたらそんなセラピーがあるらしいとわかったなんてことも。

心理セラピストがクライアントに対して受動的というわけでもありません。ここでいうクライアント中心とは非指示療法のことではありません。

心理セラピストがガイドしていても、手法が変わることもあるということです。なんか偉い先生たちに怒られそうですけど・・・

もちろん、一つの手法でブレずに一通りをやってみるというセッションもよいと思います。

まあ、Kojunは性別からしてどっちでもありですから・・・

※当サイトの記事には実践経験に基づく意見や独自の経験的枠組みが含まれます。また、全てのケースに当てはまるものではありません。ご自身の判断と責任においてご活用ください。

※当サイトの事例等は事実に基づいてはいますが複数のケースや情報を参考に一般化して再構成、フィクション化した説明目的の仮想事例です。

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