椅子と外の景色

心理セラピー技法「感情処理に基づく精神力動アプローチ」

ここではKojunの心理セラピー(心理療法・短期療法)のアプローチの1つ「感情処理に基づく精神力動アプローチ」について書いてみたいと思います。

「精神力動アプローチ」はもともとフロイトの流れをくむ心理療法の主流の1つです。人間の無意識を扱うというのが特徴です。「力動」というのは物理学の力学エネルギーの比喩です。

現代風にアレンジされている点の1つは、「感情」を中心に扱うということです。

フロイトは「性的エネルギー」(簡単にいうと、青年期までに抑圧されたエロい欲求みたいなもの)を扱うのに対して、現代風の技法ではゲシュタルト療法などの影響もうけて、「感情エネルギー」を扱います。

(例1)「離婚してから何年たっても涙が止まらない」というような場合、「私は怒ってます!」と言って怒りを呼びだすと、その離婚トラウマに終止符がうたれることがあります。

(例2)逆に、裏切られた怒りが何年も止まらないという場合、「仲間だと思っていたのに悲しいよ」と涙を流すことでそのトラウマに終止符がうたれることがあります。「怒り」「涙」のような感情の力学を解いているわけです。

(例3)すぐ怒っちゃうという性格のお悩みの奥に「悲しみ」の感情が隠れていたりします。「泣くことは弱いことだ、けしからん」というような抑圧があると、悲しみが「怒りっぽい」へと形をかえて出てきているということになります。その悲しみの感情エネルギーを解放すると「怒りっぽい」という呪縛が解けるというわけです。

(例3)の場合、「さあ、悲しんでください」と言ってもご本人はそれに抵抗があるわけです。場合によっては、悲しい出来事を思い出す必要があるかもしれません。それを解放しようとすればするほど、抵抗が大きくなってお悩みは深刻化します。

そこで、長期間にわたってカウンセラーに通ったり、催眠によって抵抗を弱めたり、占い師が「おやおや、悲しみのカードが出ましたよ」と言ってみたりするわけです。

精神力動の短期療法は、そこに真正面から向き合っちゃおうというアプローチで、イメージワークなどを行いながら数十分で単刀直入にやっちゃうわけです。感情だしちゃうわけですね。

そこで先の例だと、「怒りっぽい」を出してもしかたなくて、「悲しい」を出す必要があります。セラピストに「本当は悲しいんでしょ」みたいなことを言われると、なんだかムカつきますね。

だから、これはセラピストとクライアントの信頼関係というか、セラピストの独特の人柄なんかが必要となってくるわけです。セラピスト自身が「ホントは悲しいんだ」をやったことがなかったらお話になりません。セラピスト自身が「泣くのは弱いことだ。けしからん」と思ってたらお話になりません。普段は悲しみをみせることに抵抗のあるクライアントが「この人の前なら鼻水ぐじゅぐじゅの泣き顔を見せてもいい」と思える人物でなければできません。

〇〇精神心理学会理事で偉いとか、博士号もってますとか、ほとんど役に立たないわけです。肩書や白衣を信じるかはクライアントに依るかと思います。

クライアントの本当の気持ちに触れるわけですが、そこは世間的な常識や規範に反するものが多く関わります。たとえば、上記の例では世間的な常識や規範は「泣かない方がいい」ですよね。ですので、世間の常識よりもクライアントの味方をしそうなセラピストが向いています。上司やの医師の顔色をうかがっているような優等生くんよりも、社会からちょっとはみでた感じの人がよいかもしれません。

昔はなんだかわけありな人がネイティブ(当事者的な)な経験を経てセラピストになることが多かったのですが、最近は心理学の知識を勉強をしてカウンセラーになる(ナレッジ&スキルな)人が増えてます。

なので、精神力動アプローチを提供できるセラピストが相対的に減ってきていると思います。

効率を求める病院な福祉などでは、セラピストの生き様にあまり関係なく「誰がやっても効果がある」技法(たとえば認知行動療法など)が好まれるのは当然です。

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